ON  MY  WAY

60代を迷えるキツネのような男が走ります。スポーツや草花や人の姿にいやされ生きる日々を綴ります(コメント表示承認制です)

日本卓球は中国に打ち勝つ (祥伝社新書;宮﨑義仁 著)を読んで

2019-02-15 21:10:23 | 読む
本屋に行って、新書コーナーで何か面白そうな本はないかと探してみた。
「面白そう」といっても、自分が興味をもてそうなものは、あまりない。
だが、ふと目に入った。



「日本卓球は中国に打ち勝つ」

中国は、長年、個人戦も団体戦もほとんど優勝を勝ち得てきた。
それが、最近は、日本の10代の張本や伊藤が、中国選手を打ち破ることも多くなってきた。
日本は、JOCエリートアカデミーという育成組織を立ち上げ、強化に乗り出したことが実を結び始めている。
本書を著したのは、日本卓球協会の強化本部長、宮﨑義仁氏だ。
育成組織を立ち上げた本人が、どんなことを語っているのか、興味をもった。

帯には、「勉強のできない子は、卓球もできない」とも書いてあった。

読んでみたら、期待どおり、面白かった。
昔卓球をやっていた人間として、経験上いろいろとわかるところも多かった。
「100m走をしながらチェスをする」ようなのが卓球である、とはよく言ったものだ。
技術だけの勝負なら、人口の多い中国に負けるが、技術以外の、知力、集中力、自立心、総合的な人間力を育てることによって、中国選手の壁を越えようとしているのが、今の日本なのだ。

昔の自分の経験になるが、私が卓球部に入って本格的に卓球を始めたのは、1月の半ばであった。
中学校入学と同時に卓球を始めた周囲の同級生たちとは、4年近くの差があったのだが、4か月もしたら、私が勝つこともできるようになった。
これは、卓球で勝つ要素が技術だけではないことを示している。

さて、宮﨑氏は、ジュニア世代の育成に着手したが、選手の個性をすくい上げ、その個々の特徴を最大限に伸ばすための育成システムを構築することに努めた。
そこで、最も大切にしてきたことが、選手自身が自分の頭で考える習慣をつけることであった。
厳しい課題にぶち当たったときに独力で解決法を探し出そうとする習慣、探求心が身につくことが、強くする上で欠かせないという考えだ。
だから、
・ 指導者は、教えない。
・ 情報や題材は提供する。
…という寄り添い方をする。
このやり方だと、自立心のない選手は成長しないというわけだ。

 このほかにも、「水谷と張本の対戦が面白い理由」「平野美宇、丹羽孝希選手らの伸び悩み」「敏しょう性は12歳までに鍛えないと身につかない」などの興味深い内容がいくつもあって、一気に読んだ。
 平野美宇、丹羽孝希らが伸び悩む理由と打開策を、指導者側はわかっているが、自分で気づいて求めてくるまで、教えない方針を貫くということも書いてあった。


こんな宮﨑義仁氏という人物に焦点を当て、5回ほど連載した記事が産経新聞に載っていた。
この記事を編集したのは、大学時代に私と同じ卓球サークルに所属していた後輩であった。
こちらも読んでいただけると、宮崎氏の人物像がより鮮明になってくる。
ぜひお読みいただきたい。
コメント
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