ON  MY  WAY

60代を迷えるキツネのような男が走ります。スポーツや草花や人の姿にいやされ生きる日々を綴ります(コメント表示承認制です)

芋粥(いもがゆ)

2019-02-12 22:10:15 | 生き方
芋粥(いもがゆ)。
…といえば、芥川龍之介の短編小説を思い浮かべる人も多いだろうと思う。
この小説の登場人物の時代は平安時代であり、この場合の芋は、「山芋」を指すということだ。

わが家では、母が元気だった頃は、冬はよく芋粥を作ってくれたものだった。
ここで言うわが家の芋粥は、「さつまいも」の粥である。
芋粥は、家族皆が好きだった。
冬の日曜日の朝は芋粥、というのが定番であった。
「明日は、芋お粥にして。」と、土曜日の夜にはよくせがんだものである。

純粋にさつまいもしか入っていないお粥であった。
そこに、塩をかける時もあったが、塩鮭や梅干などと一緒に食べることが多かった。
やわらかく、黄色に輝くさつまいもは、ほくほくしていて、おいしかった。

母は、芋粥を貧乏くさい食べ物だという考えがあったようだ。
私が小さい頃には、「芋粥を食ってるなんて、よその人には言うなよ。」と、言うこともあった。
子どもの頃には、おいしいものは「ごちそう」だった。
母の言葉の意味がよくわからなくて、「なんで?」と問い返したものだった。

母が亡くなってからも、妻が冬に何回かは作ってくれるようになった。
ありがたい。
わが家の芋粥は、途絶えず。

妻が単身赴任をしていたときに、私が娘に作ってあげたこともある。
その前日に、自動車を運転して自損事故を起こした娘を慰めるために、やさしい味の芋粥がいいだろうと思ったのだった。

先日、この冬2度目の芋粥を妻が作ってくれた。
母の命日が近づく日曜日のことであった。


コメント
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