ON  MY  WAY

60代になっても、迷えるキツネのような男が走ります。スポーツや草花や人の姿にいやされながら、生きている日々を綴ります。

アッツザクラを見ながら…

2020-05-20 21:39:33 | 草木花
アッツザクラ。
植えておいた小さな鉢に咲くのが、とてもきれい。
濃いピンクというか、赤紫の花びらが、とてもあったかい感じがする。



毎年、春に咲く。
咲いているのを見るとき、いつも、かつて同じ職場で働いていた同年代のK氏を思い出す。

山野草を育てるのが上手だったK氏は、家で育てていた鉢植えを、よく職場に持ってきてくれたものだった。
クリスマスローズやギボウシ、イワウチワとかサギソウ、いろいろなものを持ってきて、職場の玄関を飾ってくれたものだった。
あるとき、アッツザクラを持ってきて飾ってくれた。
それを見て、「きれいだね」と声を掛けたら、
「まだ、家にいくつかあるのですよ。ぜひ、もらってください。」
と言った。
翌日すぐに、彼はかわいい一鉢のアッツザクラを持ってきたので、ありがたくもらっておいたのだった。
ところが、そのあとの世話がうまくできず、せっかくのそのアッツザクラを枯らしてしまった私であった。

2年前の春、その彼が亡くなった。
夏の盆の時期に、その家を訪ねると、外にいろいろな植物の鉢植えがあった。
ただ、愛を込めて育ててくれる主を失った鉢の植物たちは、元気を失ったり枯れたりしていた。
奥さんが、「やはり主人じゃないとうまく育てられないのですよね。」という言葉に続けて、
「よければ、どれでもいいのでもらって行ってくれませんか。」と言った。
彼からもらったアッツザクラを枯らしてしまった経験がある私は、申し訳ないと何度も繰り返しながら固辞したのであった。


…きれいに咲くアッツザクラを見ながら、K氏との思い出をいろいろと思い浮かべる私である。


コメント
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