去年の秋から書店に並び、スポーツ好きの私が気になっていた本があった。
476ページもあって分厚いのに、よく売れていた。
その本の名前も、結構インパクトが強い。
その名も、「嫌われた監督」という。
副題に「落合博満は中日をどう変えたのか」とある。

内容は、かつてスポーツ新聞社の若き記者だった著者が中日を担当していたころ、落合博満が監督として着任する直前からその務めを終えるまでのことについて書いてある。
監督を務めた2004年~2011年の8シーズンを、シーズンごとに特定の人物を取り上げ、エピソードやその心情を掘り下げながら書くことによって、落合博満という監督のあり方や生き方を浮き彫りにしている。
落合監督時代の中日は、8年間にリーグ優勝4度、2位3度、3位1度。
しかも、2位の年にはクライマックスシリーズを勝ち抜いて日本シリーズに進み、そこで日本一になっている。
そのときは、8回まで完全試合を続けていた山井投手を9回に交代させた采配は、日本中を驚かせるとともに、非情だと物議を醸した。
これは、何年たっても語り草となっている。
そのエピソードを含め、記者はおろか、周囲のコーチや選手とも一線を画す落合監督。
自ら孤独に身を置きながらも、在任期間中の優勝回数も多く、8シーズンすべてAクラスの戦績だった。
そして、最後は、球団史上初の2年連続優勝であった。
落合監督は、在任中、プロ野球チームの監督であることに徹した。
それは、チームが勝ち続けるためにできることをすること。
選手やコーチのプロ意識を高め、力を最大限に引き出すこと。
そこに安易な同情は入れない、ダメなものはダメと徹底する。
プロなのだから、選手自身が自覚して努力する、その覚悟を形にして見せないと簡単に信用しない。
しかし、そのような信念を貫くのは非常に難しい。
人には、人からよく見られたいという思いがある。
だが、彼は貫いた。
まさしくプロの仕事と言えた。
チームを勝たせるために、落合はどんどん孤独になっていき、最後にはまだシーズン中の9月で2位に付けている状況の下で、球団からひと月後の契約満了を発表されてしまった。
ところが、落合退団の発表があった後、2位だったチームは15勝3敗2引き分けというすばらしい戦いぶりを見せ、中日は球団史上初の2年連続リーグ優勝を果たしたのである。
ここには、決して落合監督を慕っていたからがんばったというわけではないが、選手たちがプロ意識を高め、自分たちの意思でプレーの質を高めていったことが分かる。
選手たちは、落合監督の下で、プロ野球の強豪チームにふさわしい資質や力を備え、それを見事に発揮できるようになっていたのであった。
この本のもととなったのは、2020年の夏から2021年の春を迎えるころまで週刊文春に連載された文章である。
この連載がなされたこの時期は、「忖度」に見られる日本の政官関係のあり方に対して不信感の高まりが久しく続いている時期でもあった。
それは、現在でもそうだと言えるのだが…。
忖度や迎合、愛想などを一切捨てて、落合は監督の仕事に徹した。
その仕事ぶりは、反感を買ったり評価されなかったりもしたが、今の日本が忘れていそうな大事なものを示しているような気がするのである。
476ページもあって分厚いのに、よく売れていた。
その本の名前も、結構インパクトが強い。
その名も、「嫌われた監督」という。
副題に「落合博満は中日をどう変えたのか」とある。

内容は、かつてスポーツ新聞社の若き記者だった著者が中日を担当していたころ、落合博満が監督として着任する直前からその務めを終えるまでのことについて書いてある。
監督を務めた2004年~2011年の8シーズンを、シーズンごとに特定の人物を取り上げ、エピソードやその心情を掘り下げながら書くことによって、落合博満という監督のあり方や生き方を浮き彫りにしている。
落合監督時代の中日は、8年間にリーグ優勝4度、2位3度、3位1度。
しかも、2位の年にはクライマックスシリーズを勝ち抜いて日本シリーズに進み、そこで日本一になっている。
そのときは、8回まで完全試合を続けていた山井投手を9回に交代させた采配は、日本中を驚かせるとともに、非情だと物議を醸した。
これは、何年たっても語り草となっている。
そのエピソードを含め、記者はおろか、周囲のコーチや選手とも一線を画す落合監督。
自ら孤独に身を置きながらも、在任期間中の優勝回数も多く、8シーズンすべてAクラスの戦績だった。
そして、最後は、球団史上初の2年連続優勝であった。
落合監督は、在任中、プロ野球チームの監督であることに徹した。
それは、チームが勝ち続けるためにできることをすること。
選手やコーチのプロ意識を高め、力を最大限に引き出すこと。
そこに安易な同情は入れない、ダメなものはダメと徹底する。
プロなのだから、選手自身が自覚して努力する、その覚悟を形にして見せないと簡単に信用しない。
しかし、そのような信念を貫くのは非常に難しい。
人には、人からよく見られたいという思いがある。
だが、彼は貫いた。
まさしくプロの仕事と言えた。
チームを勝たせるために、落合はどんどん孤独になっていき、最後にはまだシーズン中の9月で2位に付けている状況の下で、球団からひと月後の契約満了を発表されてしまった。
ところが、落合退団の発表があった後、2位だったチームは15勝3敗2引き分けというすばらしい戦いぶりを見せ、中日は球団史上初の2年連続リーグ優勝を果たしたのである。
ここには、決して落合監督を慕っていたからがんばったというわけではないが、選手たちがプロ意識を高め、自分たちの意思でプレーの質を高めていったことが分かる。
選手たちは、落合監督の下で、プロ野球の強豪チームにふさわしい資質や力を備え、それを見事に発揮できるようになっていたのであった。
この本のもととなったのは、2020年の夏から2021年の春を迎えるころまで週刊文春に連載された文章である。
この連載がなされたこの時期は、「忖度」に見られる日本の政官関係のあり方に対して不信感の高まりが久しく続いている時期でもあった。
それは、現在でもそうだと言えるのだが…。
忖度や迎合、愛想などを一切捨てて、落合は監督の仕事に徹した。
その仕事ぶりは、反感を買ったり評価されなかったりもしたが、今の日本が忘れていそうな大事なものを示しているような気がするのである。