梅雨が明けたが、まだあじさいは見ごろを過ぎたとは言えない。
ピークを過ぎたものもあるが、まだきれいなものも多い。
こんな時期、学生時代に聴いた歌で、毎年のようになぜか聴きたくなる歌がある。
それが、北川とみの「あじさい寺」という歌だ。
あじさい寺といえば、さだまさしがグレープ時代に歌った「縁切寺」が有名。
その歌では、彼女と一緒に鎌倉を訪ねた時に、別れにつながると悪いから縁切寺に行くことだけは強く拒まれた。
なのに、その後その彼女から別れの言葉を言われたという内容の歌だった。
この北川とみの「あじさい寺」は、
女性の方が、かつて彼氏と一緒に来たあじさい寺を一人で訪ねた。
すると、なんとその彼氏がかわいい子を連れて来ていたのを見かけ、雨の中逃げるように石段を駆け降りる。
…というようなストーリーの歌。
一番でも二番でも、サビでは、
昔々 このお寺に 駆け込んだという 女の人の 悲しみが 痛いほどわかる
という歌詞が歌われる。
「雨」「あじさい」「別れ」
わずか3分余りの短い歌だったが、ドラマチックな悲恋が歌われている。
そういう歌の中の主人公の女性が、いじらしくてかわいそうに感じたものだった。
レコードを買って聴くほど好きだったわけではないが、梅雨の時期になると不思議に頭の中にイントロが流れ、「一人来たのよ あじさい寺に」と口ずさんでしまう。
CD化はされなかったようだが、今は便利な世の中、YOUTUBEで聴きたいときに聴くことができる。
改めて聴くと、多感ではあったが微妙な女性の心など知る由もなかった若かった頃の、酸っぱい思い出もよみがえるような気がする。