『節分には、「福は内、鬼は外」と唱えて豆まきをしますが、その鬼はどこにいるかというと、自分の心の中にいるのですね。みんな、自分の見方、考え方の癖で苦をこしらえているのですが、それに気づかずに、あの人のせいだ、この人のせいだと、まわりのせいにしてカッカし、イライラしている。それでニョキニョキと角が生えてしまうのです。その鬼になっている自分が見えないのです。
ですから、いつもそばについていてくれて、「ほら、それが鬼の心ですよ。その心が不幸を呼んでしまうのですよ。見方をこう変えると福の神がくるんですよ」と教えてくれる、いわば人生のコーチが必要なのです。そういうコーチがいないと、自分の心に住みついた鬼をなかなか追いだせないわけです。
幸福を呼ぶ心とは、たとえば真珠貝が異物が自分の中に入ってきてもそれを幾重にも包んできれいな真珠にしてしまうような心だ、と教えてくださった方がいます。おもしろい譬えではないですか。
鬼の心を真珠貝の心に切り換えさせてくれるのが、サンガの仲間同士の磨き合いです。』
庭野日敬著『開祖随感』より