「習う」という字は、ヒナ鳥が飛び立とうと、親を真似て二つの羽を繰り返し繰り返しばたつかせている形であることは、前にお話ししました。子どもが巣立って社会で生きていくには、知識だけでなく、生活の知恵をしっかりと身につけなくてはなりません。
動物はみな、親を真似てそれを身につけていきます。ですから、親から引き離されて育った動物は、年ごろになっても恋人を見つけられなかったり、子どもを産んでも育てられなくなったりするというのです。
人間の子どもも同じです。いい学校、いい会社へ入るためだけの勉強で追い立てられて、いつまでも子ども扱いで一から十までお母さんが面倒をみるといった過保護で育ったら、自分一人では何もできない青年ばかりが増えてしまいます。子どもがどんなに心配でも、親はいつまでもそばについていてあげるわけにはいきません。一人立ちさせる教育こそ大切なのです。
親がどんな問題にも毅然と対して、信念を持って生きる姿をわが子に示し、その親の姿を通して、子どもに自分で生きていく力をつけさせるのが家庭教育ではないでしょうか。
庭野日敬著『開祖随感』より