『失敗が好きな人はいませんが、極端に失敗を恐れて何もしない、何もできないという人が、若い人に多くなっていないでしょうか。事を始める前に結果を考えたら何もできません。
とにかく、まず全力を尽くしてやってみる。それで思うような結果が得られなかったら、やり直せばいいのです。お釈迦さまでも、そうなのです。お釈迦さまは、命をけずるような苦行を六年間も続けられたのですが、それが悟りへの道でないと知って、やめてしまわれました。
私たちは、せっかく大学を出たのにそれがなんの役にも立たなかったら大失敗と考えますが、大学で何年間か努力してみなければ、それがむだかどうかも分からないわけです。この世に、なんの役にも立たないむだなどあるはずがありません。その失敗の裏側に、成功があるのです。お釈迦さまのお悟りも苦行に命をかけられた六年間があってこそ得られたのです。
私たちの目に成功と映り失敗と見えることも、一つのことの表裏です。失敗の屈辱を通して得た教訓は、二度と忘れるものではありません。なにごとにも全力を尽くすと、失敗が成功につながり、成功に奢れば失敗が待ち受けています。』
庭野日敬著『開祖随感』より