中に入っている箱には、ちぎり絵風な上品な絵柄があり、贈り主のお人柄が偲ばれる。
「珠洲焼の里」の文字に、石川県の珠洲市を思い浮かべた。
珠洲市を訪れたことはないが、娘婿の亡くなったお父様が、現職当時の1時期、この地に単身赴任をしていたことがあったので、なんとなくその地と、娘が話の中で尊敬していたお父様の事とを繋げて、ご縁のある を嬉しく思った。
箱の隅にある赤いのは、布製のアートフラワーの椿だ。
ラッピングを解くと、現れたのは壷だ。
色といい、表面の生地といい、「珠洲焼」の陶器そのもののようだ。
珠洲焼(すずやき)は、12世紀後半頃から15世紀末頃に石川県珠洲市付近で生産された、中世の日本を代表する陶磁器のひとつ。
古墳時代から平安時代にかけて焼かれた須恵器の技法を受け継いでいた。
赤い椿がしっとりと壷にあう。
それにしてもこの壷の色いいなぁ、好きな色だなぁ、と何度も眺める。
ナイフを入れたお嫁さんが、「あれ!何かはいっとる!」
中の丸みと重みは林檎だった。
芯をくりぬいて丁寧に仕上げている。
この林檎が、バームクーヘンの、パサパサ感を、しっとりとしている。
実に美味しい壷だった。