迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

聲の雲路をしるべにて。

2019-05-13 21:56:29 | 浮世見聞記


その世界がまだ夢の國だった頃、

道しるべになるだらうと信じて手に入れた記録を、かつては処分も考へた資料の山から、やうやう見つけ出す。


現在では決して逢へない藝が、そこには記録されてゐる。


己れのそのときの気分で、記録媒体としての価値は上がったり下がったりするが、しかし記録されてゐる藝そのものは、けっして揺らぐものではない。


人間が下す評価なんてものは、結局ニンゲンの自分勝手な尺度でしかない。




その世界が夢の國ではなかったからといって、落胆するに及ばず。


手に入れた道しるべそのものが、

じつは夢の國なるらん。



そこに記録された大先人の聲から、

いかに自分なりの夢の國を創り出せるか──


既製品は、他人(ひと)の夢。

そんな猿真似冠者なら、誰でもなれる。



誰もがなれない先に、


夢の國はある。



藝も、そこから始まる。






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