東京圏の私のゐる場所における薹風十三號の影響は午前中の小雨にとどまり、昼過ぎには太陽ばかりか湿度まで戻って、外出先でつひ苦笑ひ。
なんであれ天氣が回復したことで、棲家まで電車ならば十分ちょっと、徒歩ならば一時間はかかる町から、自分の足だけで帰りたくなってその通りにする途中、その商店街でほぼ毎度シャッターが閉まってゐる小さなリサイクルショップが、珍しく開いてゐたのでオヤオヤと立ち寄ってみる。
おかげで、手猿樂で使へる道具が廉価で手に入り、今回は歩いて帰らんと思ったのはかうした御縁か、と久々に不思議な感に打たれる。
どんなに面白い物を廉価で見つけても、それに需要を見出せなければ、私は手に入れないことに決めてゐる。
結局のところ、棲家まで持ち帰って仕舞ってそのまま忘れて、せっかくの価値を無にしてしまふからだ。
今日出逢った道具は、なにかで必ずやその価値を發揮してくれると、私は踏んでゐる。