春に近い陽氣となった日中、目黒區下目黒まで来たついでに、前にもお参りした成就院“蛸藥師”に立ち寄る。
江戸時代に鳥居清長が矢の根五郎(曽我五郎)の繪を奉納した由縁の寺で、
(※複製)
今年も我が活動の充實を願ふ。
池のほとりの風は、やはりまだ冬にある。
「困ってゐるんです」と寄ってきた人がゐた。
私には記憶のある相手だった。
良い印象はなかった。
私が躱した理由を、相手は知らないだらう。
他人(ひと)をアテにしたことなどないので、他人(ひと)からアテにされ方も知らないのだ。
知りたくもない。
旧學校跡のめぐろ歴史資料館へ至る路沿ひに、古道跡から移された道標などが、いくつか殘されてゐる。
辿って行けば、どこか初めての國へ、連れて行ってくれさうな氣がした。