迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

在宅のす丶め。

2018-04-29 13:35:11 | 浮世見聞記
一方通行であることに気付かずに進入して、向かふから来たクルマにクラクションを鳴らされる母娘づれのクルマがいたり、



歩行者信号はとっくに赤に変わってゐるにもかかわらず、横断歩道をいつまでもゾロゾロと渡ってゐた行楽集団が、やって来たタクシーにクラクションを鳴らされて慌てて歩道に戻るなど、この時期に湧出するオメデタイ人種は、いづれもが呆けた表情(かお)をしてゐる。

やうするに、自分ではナニも考へてゐない人種である。

横断歩道の件にしても、前の大勢が渡ってゐるので、タダそれにくっついてゐるだけなのだ。

簡単に詐欺にひっかかるのは、間違ひなくかういふ人種だ。





「あの、墓地へ行きたいのですが、どうやって行ったらよろしいですか?」

「墓地なら、この信号を渡った先ですよ」

「そうですか。ありがとうございます」

「あ。行くなら、赤信号のときに、渡って下さいね……」

──落語の小噺より





おなじ呆けるなら、

この時期は自宅で静かに呆けてゐたはうが、

よろしいわ。
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