東京都目黒区祐天寺で、SLの車輪に出くはす。
傍らの案内板によると、昭和四十八年(1973年)に九州の日豊線でお召し列車を牽引した、C57型蒸気機関車の主動輪云々。
昭和四十九年に廢車後は保存先が見つからず解体され、そのうちの主動輪は國鐵から拂ひ下げられてこの場所に保存、ほかの車輪は鹿児島縣と宮崎縣に、それぞれ引き取られて保存云々。
つまり、“分骨”されたやうなものだ。
都内には何ヶ所かSLが静態保存されてゐるが、
いづれも感興をそそられたことがない。
博物館などに展示されてゐる能面や能装束にいづれも生気が無い如く、本来の用途から外れたそれは、もはや屍でしかないからだらう。
モノは、使ひ續けることで永遠になれるのだ。