朝のラジオ放送で、喜多流「絃上」を聴く。須磨の浦を舞臺に、渡唐を志す琵琶の名手藤原師長と、實は村上天皇とその后の靈である汐汲み老夫婦との音樂を介した交流、そして後半には村上天皇の靈そのものが登場し、八大龍王の演奏で舞を舞ふ氣宇壮大な曲趣ゆゑにか、やや「またか……」と感じられるほどラジオ放送ではよく取り上げられる曲。前半、琵琶を彈きはじめた師長は、折から降り出した雨の音をうるさく思ひその手を止めてし . . . 本文を読む
近頃、東京圏の鐵道ではワンマン運転化が進んでゐるらしい。と云ふことはつまり、車掌は失職するわけである。さうすると、今まで車掌だった人はどうなるのか……?とんだ“人員削減(リストラ)策”もあったものだ。ただ、長い編成の電車で事故が發生した場合、また車内で氣違ひが暴動を起こした場合、たった一人しかゐない乗務員(運転士)で果たして對処しきれるのだらうか、と云ふ疑問が強く残る。私はこの國のあ . . . 本文を読む
今朝に見た道の草は霜化粧をほどこして、キンと引き締まった空氣に彩りを添へる。朝の空氣は、夏より冬のはうが好きだ。今年は三年ぶりに世田谷ボロ市が再開されてゐるとのことで関心はあったが、時間の都合がつかず、今回はご縁が無いと悟る。私は自身の直感を、なにより信じる。永田町では為政者代表が、支那と朝鮮の軍事力抑止のためと稱して、「相手國の基地を叩く」だけの威力を持った米國産ミサイルの配備を決定云々。この件 . . . 本文を読む
dmenuニュースよりhttp://topics.smt.docomo.ne.jp/article/asahi/nation/ASQDH34M2QDFUTIL01T?fm=d事故調査の報告書が、やうやく公表される。『知床岬の北端付近で折り返した後、波が高くなった復路で浸水が広がったと特定した。また、船首付近にあるハッチがふたの不具合で開き、相当量の海水が流入したと推定されると判断した。』── 『波 . . . 本文を読む
dmenuニュースよりhttp://topics.smt.docomo.ne.jp/article/mainichi/politics/mainichi-20221214k0000m010309000c?fm=d『◇防衛費増額の財源案のポイント・復興特別所得税と法人税、たばこ税の3税を対象・復興特別所得税の税率2・1%のうち1& . . . 本文を読む
上野驛で下車したつひでに、アメ横へ行ってみる。あの時の海鮮丼のお店は、まだあるだらうか……?“あの時”とは、十二年前。あの時に食べた、タコとマグロの乗った丼が美味しかったのだが……。あった、あった、まだあった!値段は、あの時から100圓だけ上って600圓。十二年の間に浮世は、東日本大震災、そして人災疫病禍と大難に見舞はれたが、さうした時空を乗り越えて、私 . . . 本文を読む
dmenuニュースよりhttp://topics.smt.docomo.ne.jp/article/yomiuri/nation/20221212-567-OYT1T50211?fm=d今月七日、那須野の殺生石にて八頭の猪の死骸を管理事務所の職員が發見、硫化水素などの火山ガスを吸ったことが原因と考へられる云々、狐や狸の死骸が二、三匹發見されることはあるが、八頭まとめては珍しい云々──石に近づくとた . . . 本文を読む
冬はまだ始まったばかりにして、「この冬一番の寒さ」に見舞はれた今日、さすがにこの冬初めてダウンジャケットを着て、外に出る。衣料品業界では、さほど氣温の下がらぬ日々に冬モノが賣れず、予想外の苦戰云々。「これまでに經験したことのない」氣象は、これからは通年の挨拶代はりとなることだらう。刈り取られたほうき草が、束ねて置かれてあるのを見る。語源通りに、これから箒へと仕立てられるものだらうか。今月もそろそろ . . . 本文を読む
昼過ぎ、今年中にもふ一度と願ってゐた、池上本門寺への参詣が叶ふ。今年はいつになく祷ること、願ふ事が多いと感じる。 自分ではいつも通りに日々を過ごしてゐるつもりでも、浮世はそれだけ薄氷上の細縄を不安定に渡ってゐると云ふことか。併せて本殿へも参詣する。現在は大堂の裏手側にあるが、もともとは「釈迦堂」と云って大堂と隣接云々、(※昔日の釈迦堂)しかし第二次大戰の空襲により焼失し、戰後の昭和四十四年に現在の . . . 本文を読む
ラジオ放送で、寶生流「竹雪」を聴く。實父の留守中、降雪の屋外へ肌着一枚で締め出された少年は、繼母の命令で竹に積もった雪を拂ふうちに凍死するが、“竹林の七賢”の功力により蘇生する──はっきりと幼児虐待が描かれるなど、曲趣としては決して今日的ではないが、しかしかつてはかうした“繼子イジメ物”が藝能や文藝で一大分野を成してゐたことは事實で、この曲では舞臺上の子方(子役)の幼氣(いたいけ)な演技に見物の涙 . . . 本文を読む
先月二十六日にダイヤ改正した京濱急行に乗ることも樂しみに──昼間の「特急」はやはり便利だ──、平和島TRCの骨董市を覗きに行く。手猿樂の創造意欲をそそられる美品が手に入り、わずかに殘った前の持ち主の痕跡に、ひとつの物が確實に人の手から手へと渡った瞬間を見て、今度は私が大切に扱ふと、丁寧に仕舞ふ。かうした古物市では、値札がわざと付いてゐないイヤラシイ物もある。これはもちろん、見世主がお客(ヒト)を見 . . . 本文を読む
dmenuニュースよりhttp://topics.smt.docomo.ne.jp/article/yomiuri/politics/20221210-567-OYT1T50129?fm=d『首相の方針に閣僚が公然と異を唱えるのは異例で、波紋を呼びそうだ。』──記事の文面を見る限りでは、自分は蚊帳の外に置かれて拗ねてゐるだけやうにも映ります。いまやバカの一つ覺えの様相を呈してきた物価の便乗値上げ、 . . . 本文を読む
夜明け前に窓を開けて北の空を見ると、昨夜の“コールドムーン”の名殘りが、雲間より覗いてゐた。月ほど、じっと見つめてゐたくなる天体もない。じっと、いろいろなことを考へたくなる天体もない。なんらかの意欲を刺激される天体もない。月と逢って、心に浮かんだことを心に留めて、形にする。まず失敗はない。 . . . 本文を読む
先日に訃報を知らされたまだまだ若かった親類の幼少時に、私が撮った冩真があった筈と、實家の押入れから段ボール箱を引っ張り出して、「ああ、あった……」と久しぶりの對面を果たす。亡き人は、思ひ出してくれることを何より喜ぶと聞く。冩真は、そのよすがとなる。冩真のなかのまだ幼い親類は、華やかな場所で樂さうにしてゐる。冩真がその存在価値を高める瞬間。散歩した公園の、毎秋きれいに色付く紅葉が、今年もきれいに染ま . . . 本文を読む