迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

記憶の色は甘辛く。

2022-12-06 19:50:00 | 浮世見聞記
都内忘所の“主流”ではない自販機で、普段ほとんど見かけない忘社製“ミルクセーキ”を見かけて、試しにと100圓玉を投入す。お味は予想以上でもなければ、以下でもなし。昔はそれが普通だった、アマイアマイお味。近頃は“昔懐かしい”だの、“復刻”と銘打ったものに、すっかり涙腺が緩むやうになった。子どもの頃、それに接した記憶(おぼえ)もないくせに。……ワシも、トシを取ったと云ふことかなう。いや、 . . . 本文を読む
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表に見る裏出版。

2022-12-05 19:30:00 | 浮世見聞記
東京都千代田區神田小川町の東京古書會館で、「『地下出版のメディア史』展」を覗く。大正半ばの1920年代、印刷技術の進化による書籍の大量生産は讀書の大衆化をもたらし、同時にオトナの抑へ難き欲求──“性風俗”を扱った書籍も水面下で隆盛となり、昭和初期には「珍書屋」と呼ばれる専門業者によって、會員諸氏に流通云々。さうした近代出版文化の“裏街道史”を紹介した企画展かと思ひきや、これまでに蒐集 . . . 本文を読む
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逢ふあふぎ。

2022-12-04 09:03:00 | 浮世見聞記
ラジオ放送で觀世流「班女」を聴く。客の男と再會を約束して扇を取り交はして以来、ボンヤリとなったがために美濃國野上宿を追ひ出され、都で狂亂して彷徨ふうちに帰京した戀しい男と再び巡り逢ふ──能では典型的な狂亂物で、私も水道橋の能樂堂で一度觀てゐるが、曲趣そのものに特に感じるところはなかった。それよりも、堂々たる体格をしたその演者(シテ)が、扇を構へた姿のときに、握った両手をピタリと体に付けて細身に映る . . . 本文を読む
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自民党会議各県政調会長から防衛費財源・増税論に反対の声

2022-12-03 22:15:00 | 浮世見聞記
dmenuニュースよりhttp://topics.smt.docomo.ne.jp/article/tbs/politics/tbs-6055482?fm=d露國がウクライナに無益な國盗合戰をしかけ、支那はニッポンの領海を侵犯し、北朝鮮は頻繁にミサイルをニッポンの方向へ發射するなど、海の向こふがあちこちでキナ臭いことに乗じて、國防費の増額分は國民負担もやむなしとの風潮をつくり出さうとする──便乗値 . . . 本文を読む
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歳頃歳末。

2022-12-02 23:04:00 | 浮世見聞記
昨日に續く空氣の冷たい曇天も、日が落ちてからやうやく雲間に半月が覗き、明日こそは師走最初の太陽(ひ)が差すかと期待せり。そして家々からの夕餉の香りが道に漂ひ、今日もそれぞれが無事な一日を過ごせたのだらうと、我が身の一日も重ね合はせて感謝する。今はまだ落ち着いてゐるが、まうしばらく経つと年越しに向けてのあれこれで、時間が足りないと思ふやうになるのだらうか。年が明ければ自分はまた年を取る、と思ふやうに . . . 本文を読む
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無利益なる神サマ。

2022-12-01 22:13:00 | 浮世見聞記
令和四年最後の一ヶ月は冬らしい冷寒で始まり、官は制限數値を設けない節電を要請云々。 露國とウクライナの國盗り合戰の影響による液化天然ガスの不足が原因云々、人災疫病禍元年のマスク不足騒動以来、なんでも輸入に頼ってきた代償が再び巡ってきたか。ムダな國盗り合戰はムダに便乗値上げの風潮を生み、しかし何人たりとも口で非難はして見せても、實際に停戰なり終戰なりに向けた動きを見せない様子が、露國 . . . 本文を読む
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