(ケニア・アーチャーズポスト近郊の村に襲来したバッタの大群の中を駆け抜ける少女たち(2020年1月21日撮影)【2月10日 AFP】
写真では、まだ青空がしっかり見えていますが、更にバッタの数が増えると、空を暗く覆いつくすようにもなるようです。完全なホラー状態です)
【国家の脆弱な食糧安全保障にとって大きな脅威】
今世界中で大騒ぎになっている新型コロナウイルス肺炎のような疫病のほか、世の中には様々な災害があります。
その一つが「蝗害(こうがい)」 “トノサマバッタなど相変異を起こす一部のバッタ類の大量発生による災害”【ウィキペディア】です。
古くは、モーセが虐げられていたユダヤ人を率いてエジプトから脱出する物語を中心に描かれ旧約聖書「出エジプト記」にも出てきます。
“モーセはエジプトのファラオに(ユダヤ)民族の解放を要求しますが、ファラオは認めませんせん。それどころか、労役をますます過酷にしました。そこで、神はモーセやアロンを通じて、災い(天災や災害など)をエジプトに下し、ファラオを懲らしめ、屈服させ、民族を解放するよう摂理されました。”【「聖書と歴史の学習館」】
その災いの8番目に起きるのが「蝗害」です。
その蝗害が今、東アフリカで進行しています。
****バッタ襲来で国家非常事態宣言 ソマリア、食糧難の恐れ****
アフリカ東部で過去数十年で最大規模のサバクトビバッタの群れが襲来している問題を受けて、ソマリア政府は2日、「国家の脆弱(ぜいじゃく)な食糧安全保障にとって大きな脅威」として、国家非常事態を宣言し、対策に乗り出すと表明した。
国連食糧農業機関(FAO)によると、年明け以降、アフリカ東部を中心に数億匹のバッタが発生。人口約1500万人のソマリアを襲っている群れの規模は過去25年で最大で、隣国のケニアでは過去70年で最大。
各国は上空から殺虫剤をまくなどして対応しているが、FAOは、このまま放置すれば「6月までにバッタの数が500倍になる」と警告している。
イスラム過激派による襲撃事件が相次ぐソマリアでは、4月が農作物の収穫時期にあたる。現地の農業・灌漑(かんがい)省は「いま行動しなければ、深刻な食糧難に陥る危険性がある」との声明を出し、国際社会への支援も求めた。
バッタの大群は、昨年末の大雨などの天候不順が続いたアフリカ東部を中心に発生している。【2月3日 朝日】
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ソマリアなど東アフリカはもともと食糧難にあえぐ、飢餓の危機にさらされてきた地域だけに、その上に「蝗害」となると、その影響は深刻、もっとはっきり言えば飢餓に直結します。
最初にエチオピア東部で発生したもののようですが、バッタは移動しますので、被害はケニア・ソマリアからウガンダにも及んでいます。
****バッタの大群、ウガンダに襲来 FAOは「蝗害」を警告****
「アフリカの角」と呼ばれるアフリカ北東部で猛威を振るっているバッタの大群が9日、ウガンダに襲来し、政府は緊急閣議を開いて対応を協議した。
北東部カラモジャ地方の担当相によると、9日にケニアからバッタが襲来したのを確認したという。
大発生しているのはサバクトビバッタで、通常は群れをつくらない。だが、幾つかの条件が重なると大量繁殖して巨大な群れとなり、農作物を荒らし、飢饉の原因になる。
今回の大発生では既にケニア、エチオピア、ソマリアで食料難が起きており、ソマリアは今月、農作物が壊滅したとして国家非常事態を宣言した。国連食糧農業機関は、過去25年で最悪の状況だと指摘している。
バッタの群れは、エチオピア東部で発生し、ソマリア北部を通ってウガンダに襲来した。FAOは、現時点では地域全体に影響を及ぼす「大発生」レベルだが、状況がさらに悪化し1年以上にわたって被害の拡大を食い止められなければ、「蝗害(こうがい)」になると警鐘を鳴らしている。
これまでにサバクトビバッタによる「蝗害」は20世紀に6回あったことが記録されており、前回は1987〜89年。「大発生」は2003〜05年以来となる。 【2月10日 AFP】AFPBB News
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バッタというと、飛ぶというより数mジャンプする・・・といったイメージがあります。
しかし、“2007年、エチオピアで発生したサバクトビバッタが北ソマリア経由でインド洋を飛び越え、パキスタン、インドにまで到達したことが報告されている”【ウィキペディア】とのことで、風に乗るとはるか海を越えるほどに飛翔するようです。
【更に今後増加する恐れも】
現在大量発生しているバッタが産卵し、6月までに500倍にも増大する・・・・との可能性も指摘されています。
原因については、やはり昨今の異常気象が関係しているとも。
また、蝗害は東アフリカだけでなく、中東・インド・パキスタンでも発生しているようです。
****【アフリカ】東部でバッタ蝗害が大規模化。史上最大の被害。1200万人が飢餓。FAOが緊急支援要請****
国連食糧農業機関(FAO)は1月30日、アフリカ東部で大量発生しているサバクトビバッタによる蝗害が周辺地域に波及し人道危機をもたらしており、関係各者に対して緊急援助を要請した。被害は過去最大となっている。
蝗害は、イナゴやバッタが大量発生し、草本類を食べ尽くしてしまう現象。穀物や野菜にも被害をもたらし食糧危機を発生させる、蝗害そのものはそれほど珍しくはないが、問題なのはその規模。蝗害では、1km2のバッタが、毎日35,000万人分の食を奪う。
ケニアだけで、サバクトビバッタの大群は、縦60km、横40kmという広範囲となっており、風に乗り北側のエチオピアやソマリアにも侵食。
さらにジブチやエリトリアにも侵食。南スーダンやウガンダにも波及するおそれが出ている。
ケニアでは過去70年間で最大の規模。エチオピアとソマリアでも過去25年間で最大の規模。ウガンダと南スーダンに広がると1961年以来の蝗害発生となる。
2019年から大規模な蝗害が発生している原因について、FAOは異常気象の多雨により、バッタが繁殖しやすい状況になったとみている。ケニア、エチオピア、ソマリア、ジブチ、エリトリアの5ヵ国は、FAOに対し7,600万米ドル(約83億円)の資金援助を要請。FAOは、すでに1,540万米ドル(約17億円)の資金援助に応じた。FAOの加盟国非公式会合でも、専門家や物資を緊急支援することも決定している。
FAOの発表では、至急の食糧援助が必要となっている人口は1,200万人。サバクトビバッタの異常繁殖はまだ続いており、被害が拡大するおそれがある。
FAOの分析では、次の大量繁殖は2月が中心で、植付シーズンの4月に孵化するおそれ。6月までに現在よりもサバクトビバッタの数が500倍に増えるというFAOの試算もある。
蝗害は、エジプト、スーダン、イエメン、サウジアラビア、インド、イラン、パキスタンでも蝗害が深刻化している。【2月2日 Sustainable Japan】
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【日本ではほとんど見られない本格的な「蝗害」】
なお、「蝗害」は古来、中国でも頻発していますが、日本ではバッタによる本格的な「蝗害」はないようです。
そのため、「蝗害」の怖さがイマイチわからないところも。
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日本ではバッタ科のバッタによる蝗害がほとんど起こらなかったため、中国渡来の文献に書かれている「蝗害」を、昆虫による大規模な農被害全般を指す語だと誤解した。
日本の古文献に書かれている「蝗害」のほとんどは、イナゴ(イナゴ科)、ウンカ、メイチュウによるものである。
被害の様相はバッタによる真の蝗害とは著しく異なるが、やはり真の蝗害の実体験に乏しい日本では、このウンカによる被害に対しても、蝗害の漢語が当てられることとなった。
今日ではウンカも群生相を示すことが知られているが、被害は飛蝗に比べればはるかに小さい。【ウィキペディア】
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どうして日本ではバッタによる本格的な「蝗害」が起きないのか?ということについては、下記のようなネット情報もあります。
****日本には砂地の様な背の高い草が少ない貧弱な土壌が少ないからです****
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バッタ科の雌は、産卵管を使って土や砂地の地下数センチメートルに産卵します。背の高い草が密集している場所ではあまり産卵をしません。
その為、大量に産卵が行われるには砂地が必要です。中国は万里の長城の外側は乾燥地帯です。その為、中国やアフリカなど乾燥地帯が多い場所では蝗害が頻繁に起こります。
反対にヨーロッパや日本では蝗害はあまり起こりません。
【https://realestate.yahoo.co.jp/knowledge/chiebukuro/detail/12212797582/】
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