何やらマジックかイリュージョンみたいな表現ですが、実態はそれ以上に摩訶不思議。
盛んにTVでも取り上げていますし、ネットでもいろんな方が論じていますが、なぜこんな事態になったのか、どういう名寄せ処理がされたのか、なぜエラーが放置されたのか、どうもよくわかりません。
「宙に浮いた年金」の発生は、10年前基礎年金番号をつけて一本化した際に問題があったとされています。
このとき「すべての加入者に複数の年金に入ったことがあるかを問い合わせて名寄せをした」という解説と、「複数の年金制度に入ったことがある人に氏名や住所など必要事項を記入したはがきの返送を求め」という説明がありますが、どっちなのでしょうか?
もし後者だと、“複数の年金制度に入ったことがある人”を把握するためには事前に何らかの名寄せ処理が必要になるのではないかと思いますが、どのように処理されたのでしょうか?
一方で「名前をカタカナで入力しているので読み方を間違えたり、姓が結婚で変わったりして名寄せできず云々」という話はシステム的な名寄せ処理の話ですが、前記の「問い合わせ」による名寄せ処理とシステム的な名寄せ処理は時間的にはどのような関係になっているのでしょうか?
ある年金事務の専門の方がブログで述べておられるように、名前の記入ミス、入力ミス、生年月日のミス等、また基本的な事務処理ミスなどは多くは社保庁ではなく、国民年金事務を担当していた市町村役場の年金担当者段階で発生したものと思われます。
そのような事情を踏まえて、社保庁では基礎年金番号による一本化が事務作業的に困難なことは予見していたと思います。
事前の段階で、一体どのような対策でこれを乗り切ろうと考えていたのでしょうか?
現場の事務作業の困難さは往々にして政治的日程では無視されることが多いのですが、このときはどのような経緯だったのでしょうか?
最大の疑問は実際に特定できないデータが大量に、なんと5000万件!(5000件でも腰を抜かす数字ですが、5000万件というのは全く想像すらできない数字です。)も発生した段階で、これをどうして放置(何らか対応したのでしょうが、結果的には“放置”と言われても仕方がないと思います。)したのか?
私も大昔ですが、ある公的組織のシステム運用管理のセクションで一時期働いたことがあります。
名寄せが難しいのはわかります。
ですから、名寄せを行う場合は当然に“エラーデータをどうやって潰すか”というのが先ず最大の検討課題になります。
もし、エラーが発生したらデータ発生元に照会するなり、チェックシートをもどすなりして全力でこれを解消しようと努めます。
そうでないと利用者に多大の損害を与えますので。
5000万件もの「宙に浮いた年金」が発生したとき、なぜ緊急事態を宣言してもこれを解消しようとしなかったのか?
一体どうするつもりだったのか?
その事態はどのレベルまで報告されていたのか?
責任者はどのように判断したのか?
厚生労働省は把握していたのか?
関係者間で10年間どのように申し送りされてきたのか?
全く理解できません。
多額の負債を抱える債務者が「最初は不安で夜も眠れないが、借金が膨らんでどうしようもない額になるともう何も考えず毎晩飲み歩くようになる」と言うことがあるようですが、社保庁もこれに近い“思考停止状態”だったのでしょうか?
黙っていれば何とかなるとでも考えていたのでしょうか?
いくつもの?マークが並びます。
「すぐに対策を講じるから」「何とかするから」と言うだけでなく、なぜこのような事態に至ったのかをわかりやすく説明してもらいたいものです。
今後に向けての話をすれば、今回のような事態が起こる背景には“データが社保庁に一方向的に流れるだけで、年金加入者への情報のフィードバックがなされていないこと”があると考えます。
現在、自分がもらえる年金額は“一定の手続きで訊けば教えます”というシステムです。
今回の件は別にしても、加入記録、自分がもらえる年金額を定期的に加入者に伝えるシステムにすることで年金に対する加入者の関心を高めることが、今後年金制度を適正に運営していくうえで不可欠ではないかと思います。
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