テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

視えるひとには。

2011-03-03 23:36:15 | ブックス
「へッぷしょんッ! おさむゥござんスゥ!」
「がるるっぐるるっ!」(←訳:恋しやっ南風っ!)

 ひなまつり寒波、だそうですね。
 こんにちは、ホットカルピスを愛飲するネーさです。

「こんにちわッ、テディちゃでス!」
「がるるー!」(←訳:虎ですー!)

 お雛さまの厚着が羨ましくなってしまうこんな寒~い日も、
 さあ、張り切って読書タイム!
 本日は、こちらを、どうぞ~!

  


 
              ―― 百鬼夜行の少年 ――



 著者は天堂里砂さん、2011年1月に発行されました。
 『鏡ヶ原遺聞 壱ノ巻』と巻題が付されています。
 
「……ひゃッきィ、ッてェ……もしやッ??」
「がるがるぐるがるー?」(←訳:オバケのことー?)
「ひィッ!
 とらくんッ、いッちゃだめェでス!」

 ほほほ、噂をすれば、ほらテディちゃ、背後に。

「ひッ! ひィィィィィ~ッ?!?」

 なんてことは、そうそう有りはしませんけれど、
 そうです、
 『百鬼』とは、平安時代の人々にとってそうだったように、
 現代の私たちにとっても、
 怖ろしい、あまり係わりになりたくないモノ、
 夜道ではお逢いしたくないモノたちを指しています。

 先日ご紹介いたしました『千里眼事件』という御本は、
 20世紀前半の日本で実際に起こった
 千里眼――超能力を巡る事件を追ったノンフィクションでした。

 この御本――『百鬼夜行の少年』は、
 フィクションなのですけれど、
 やはり、
 視(み)える、視(み)えてしまう、という能力を持つこと、
 視えるがゆえの苦しみに
 深く思いを馳せざるを得ない物語です。

 主人公は、
 橘秀一(たちばな・しゅういち)くん。
 
 秀一くんの目には、
 見えてしまうんです。

 他のひとには、視えないものが。

「あうううゥゥ~ッ」(←ビビっています)
「……がる~がるるる~ぐる~」(←訳:……それは、ええと~怖いかも~)

 周囲は、実のお母さんさえもが、
 視えてしまう秀一くんを警戒し、気味悪がります。

 でも、幼い秀一くんにとっても
 それは幸せなことではなく、
 つらく、悲しく、理解しがたいことでした。

 僕は嘘を言ってるんじゃないのに。
 どうして誰も信じてくれないのだろう?

 幼児から、少年へ。
 そして高校生になった今も、
 視えてしまう秀一くんは
 苦悩を胸に抱いたまま、
 日々をやり過ごす術を覚えましたけれど。

 転機が、訪れました。
 父を喪くし、叔父に引き取られた彼の新しい住まいは、
 ド田舎のボロいお寺さん!

「うゥッ、そこもォ、こわそうゥ~ッ!」
「がるるっぐるるぐる!」(←訳:お寺っ!出そうだよ!)

 ええ、そうです!
 お寺さんにツキモノなのは、憑きモノ!
 ありとあらゆるオバケ、魑魅魍魎の類が、
 ウェルカム~♪と秀一くんを迎えます。
 ようこそ、視える人間よ!

「それもォ、こわすぎィ!」
「ぐるぐるぐるるる!」(←訳:ていうか無茶でしょ!)

 満月のように煌々と明るくも切ないユーモアと、
 湧水のようにひんやりした哀愁と、
 夜明け前のようにぼんやりした希望と。

 秀一くんの《或る夏休みの冒険》、
 ホラーと呼ぶほど恐くありませんから(たぶん?)
 ファンタジックなものがたり愛好家さんは、ぜひ!
 
 なお、可愛いカバーイラストを担当されたのは、
 ひだかなみ さん!
 巻頭のカラー画、本文の挿絵も
 見逃さないでくださいね~♪

「なむなむゥ~ッ、おばけッ、こないでッ!」(←祈ってます)
「がるがるぐーるるるるがる…?」(←訳:でも良いオバケならいちょっとくらいは…?)
「やぱりィ、こわいィからァ、だめでスゥ!」
 
 
コメント
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