テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

こんなときの、イマジン。

2011-03-14 23:08:06 | ブックス
 こんにちは、ネーさです。

  

「こんにちわッ、テディちゃでスゥ!」
「ぐるがる!」(←訳:虎ですよ!)

 本日は、まずはじめに……
 悩みました。
 悩んで悩んで悩みましたが、
 読書タイム再開です!

 なぜこんなときに?
 どうしていま読書?

 その答えは、この御本の中に!

  


 
               ―― 指輪物語 ――


 
 著者はJ・R・R・トールキンさん、原著は1954~1955年にかけて発行されました。
 英原題は『THE LORD OF THE RINGS』、
 『旅の仲間』『二つの塔』『王の帰還』の三部作から成る長大なファンタジーです!

「ゆびわッ!
 テディちゃ、きいたことォあるでスよッ!」
「がるがるるーぐる!」(←訳:有名な御話なんだよね!)

 もはや20世紀を代表する文学のひとつ、となったこの作品は、
 《ちいさなひと》――ホビットのものがたりです。

 もとは、人間と同種族であったと思われるホビット族は、
 身を隠すのがとても上手なために、
 魔法を使っているのか?
 と誤解されることもありますけれど、
 実際には、魔法などとは縁もない、
 食いしん坊で、のんびり屋さんで、楽観的でグータラで……
 まあつまり、エルフでも小鬼でもない、
 ふつうのいきもの、だったのでした。

 冒険なんて御免こうむる。
 勇気や機転なんてのは何のことやら。
 いやなことは見ないふりして、
 今日も愉しもう、パイプ草にビール!

 ホビット族が暮らすのは、
 のどかで緑豊かなホビット荘。
 いえ……
 実はいまや、のどかなのはホビット荘の内側だけなんです。

 外の世界では、戦乱の嵐が高まっておりました。
 冥王サウロンが滅びの山から
 世を睥睨していたのです。
 この天地が、冥王の前に膝を屈する日は遠くない……?

「ううッ、そんなのォやだッ!」
「がるがるるるるー!」(←訳:負けたくないよー!)

 冥府の王に対峙して、
 ただひとり、立ち上がる人影は……なんと小さいのでしょう、
 なんと頼りないのでしょう、
 裸足で、灰色のマントをまとい、
 よろよろと進んでゆく影は、
 子どもの背丈しかありません。

 彼の名は、フロド・バギンズ。
 細く、薄く、痩せたその肩に、
 世界の命運がかかっていたのでした。

「ちッちゃいィ!」
「ぐるがるるがる!」(←訳:病気みたいだよ!)

 大剣をふるう人間の勇者ではなく。
 魔法を自在に操る魔法使いではなく。
 比類がない美貌のエルフではなく。
 小さな、弱っちいホビットが、
 世界を相手に為し得たこととは――?

 映画版を観た御方は、
 あの映像を全部忘れて下さい。
 特殊効果の派手な演出、異様に目立つ戦闘シーンは、
 この物語の真の姿とは
 まったく関係がないもの、とお考え下さい。

 著者のトールキンさんは、
 長い時間をかけて『指輪物語』を紡ぎあげました。
 著述期間は、大戦がヨーロッパを見舞った時代と重なります。
 戦争の足音が、
 ロンドンの空襲が、
 埋めようのない損失、混乱、苦悩が、
 『指輪物語』の背景にありました。

 夢見ることは必要なのだ、
 という意味の言葉を、
 トールキンさんは述べています。
 苦しい現実にある人が、
 別の世界を想い描くことの、
 いったいどこが悪いのだろう、と。

 フロドは、歩きます。
 荒野を、足を引きずりながら。
 やがて来る穏やかな、豊かな世界を夢見て。

「いまじんッ!」
「ぐるぐるがるる!」(←訳:今こそ、イマジン!)

 小さなひとが、
 世界をあるべき姿に復すものがたり、
 映画よりも、
 どうか活字版の『指輪』を、ぜひ!


 (画像はネーさ所蔵の旧版です。現在は新訳版が普及しております)

 今日もまた、
 被災地の方々に心より御見舞いを!
 救助・救難作業にたずさわっておられるすべての方々、
 後方で支援する方々に感謝を!
 
コメント
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