テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

楽しきは言葉の迷路♪

2011-03-08 23:39:31 | ブックス
「わァ~んッ、ゆきィがァ~!」
「ぐる~!」(←訳:ない~!)
「きのうはァ、いッぱいィ、つもッたのにィ!」

 あのですね、テディちゃ、虎くん、
 ここは関東、東京の多摩地方ですよ?
 連日ドカ雪が降ったりしたら、それこそ超異常気象でしょ!
 こんにちは、異常気象はカンベンしてほしいネーさです。

「こんにちわァ~、テディちゃでスゥ~」
「がるる~」(←訳:虎です~)

 さあ、春の雪も消えた本日、
 読書タイムに御紹介いたしますのは……こちら!ですよ~♪

  


 
               ―― ダンスがすんだ ――


 
 著者はフジモトマサルさん、2004年8月に発行されました。
 副題に『猫の恋が終わるとき』とあります。
 いかがです、テディちゃに虎くん?
 この御本の題名に、何かピン!と来るものはなくて?

「ふァ?? だいィめいィッ??」
「がるるるる~ぐる?」(←訳:題名がどうしたの~?)

 あら、気付いてないんですね?
 では『ダンスがすんだ』と、大きな声で、はっきりと、言ってみてくださいな。
 はい!

「だんすがァすんだァ??」
「がるがるがるが?」(←訳:ダンスがすんだ?)

 はい、では次に、
 逆さから読んでみましょうね。
 『ダンスがすんだ』を引っくり返して言ってみると――

「あッ!」
「がるぐるがるー!」(←訳:おんなじだー!)

 ええ、その通り!
 上から読んでも下から読んでも
 同じ!
 というような字句を、
 《回文》と申しますよね。

「ねこにこねッ!」
「がるぐるぐるが!」(←訳:たけやぶやけた!)

 それも有名な回文ですが、
 この御本はもっとすごいわ!
 
 一冊、まるまる回文……!

 って信じられます?
 しかも、回文にイラストを添える形で
 演劇のワンシーンを想わせる《一場(一場面)》を造り、
 その《一場》を次々につなげていって、
 ひとつの壮大な物語を描き出してしまうとは!

「えええェッ?
 かいぶんでェ、おはなしをォ、つくッちゃうゥのッ??」
「がるがるるーぐる?」(←訳:どのページも回文?)
「ふかのうゥでスゥ!」

 不可能をやってのけてしまった著者のフジモトマサルさんは
 『漫画家兼イラストレーター』と名乗る才気煥発な作家さん。
 活字マニアの皆さまには、
 1コマ漫画、4コマ漫画、書籍の装丁や挿絵の作家さんとして
 お馴染みのクリエイターさんでしょうけれど、
 フジモトさん、
 なぞなぞ、回文などの言葉遊びもお手のもの! 

 この御本では、
 『医師らしい』、
 という一文&イラストに始まり
 『スリム化無理す』と続いて、
 やがて、
 一見したところでは関連もなさそうな文と画が
 次第に輪郭を結び始めます。
 
 トランプで作る“カードの家”のように、
 脆く儚い、
 一瞬の幻影と
 長く消えぬ余韻のものがたり……。

「むむゥ!
 まほうのォ、ようでスゥ!」
「がるがるるる!」(←訳:魔術師だよう!)

 回文の魔術師であり
 読み手を惑わせるステキな漫画家さん、
 フジモトさんの回文本デビュー作!
 
 中村航海さんとの共著『終わりは始まり』や、
 『今日はなぞなぞの日』、
 初の画文集『終電車ならとっくに行ってしまった』も
 言葉を愛する活字マニアさんに、ぜひのおすすめ!

「くるまッ、まるく!」
「がるがるがるが!」(←訳:サルサ去るさ!)

 つい自分でも回文を作ってみたくなっちゃう一冊、ですよ~♪
 
コメント
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