テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

― 輝くは星の業績 ―

2011-06-05 23:08:42 | ブックス
 こんにちは、ネーさです。
 ジロ・デ・イタリアがつい先日幕を閉じて、
 もうすぐツール・ド・フランス!
 本場欧州の自転車レースで頂点に立つのは誰なのかしら?

「こんにちわッ、テディちゃでス!」
「がるる!ぐる~るるがる……!」(←訳:虎です!混戦の予感がする……!)

 その混戦から抜け出すエースさんを、
 本日はズバリ予想!……なワケはなくて。
 もちろん読書タ~イム!
 活字マニアを自負する方々、こちらを、どうぞ~!

  


 
               ―― グランヴィル ――


 
 著者は鹿島茂さん、2011年3月に発行されました。
 副題に『鹿島茂コレクション1 ―19世紀フランス幻想版画―』とありますこの御本は、
 2011年3月23日~4月3日にかけて
 練馬区立美術館で開催された
 『鹿島茂コレクション1 グランヴィル ―19世紀フランス幻想版画展』の
 図録をも兼ねたものです。

「おふらんすゥ?」
「ぐるるるぐる?」(←訳:グランヴィル?)

 ……そうなんですのよね~、
 フランスの版画画家グランヴィルさんの名を知っている御方は
 多くない、んです。
 古書好きのマニアさんでもない限り、
 聞いたこともない、というところでしょうか。

 J-J・グランヴィルさんこと
 本名ジャン=イニャス=イジドール・ジェラールさん(1803~1847)。

 著者・鹿島さんは言います。
 グランヴィルさんが後世の美術に与えた影響はほぼゼロ。
 その名と業績が忘れ去られてしまったとしても、
 美術史に変化は生じない――

「えェッ? そんなァ~」
「ぐるがるるるぐるがるる~!」(←訳:そんな冷たいこと言わないで~!)

 美術史上の巨人ではないかもしれないけれど、でも。
 鹿島さん御自身は、回想するのです。

  グランヴィルとの出会いが、私の人生を変えた!

 パリの古書店で、グランヴィル作品と邂逅した鹿島さんは
 以来、コレクションを始めます。
 また、グランヴィルさんの生涯をも、
 詳しく調査せずにはいられませんでした。
 我が愛する版画画家さんは
 どのような人生をおくったのだろうか……?
 
「げいじゅつかさんッ、でスからねッ!」
「がるがるぐるるーる?」(←訳:天才か奇人変人かー?)

 雑誌に掲載された風刺画、
 タロットカードのために描いた画や、
 寓意を盛り込んだシュールな石版画、
 そしてファンタジアの極みというべき
 花々と星たちの幻想画の世界。
 鹿島さんのコレクションに、
 不遇な版画家さんの作品は少しずつ、
 しかし確実に、
 その数を増やしてゆきます。 

 美術史へグランヴィルさんが与えた影響はない、とは、
 いえいえ、私ネーさ、ちっとも思いませんよ!
 19世紀前半の印刷美術史上では、
 グランヴィルさん、立派な巨星さんです!
 その光跡、
 遺された数々の作品は、
 今後いっそう評価を高めてゆくことでしょう♪

「もッともッとォ、ぴかぴかとォ!」
「ぐるがるる!」(←訳:輝け一等星!)

 アート好きさん、
 活字マニアさんも、
 ぜひ御一読を!

 ついでに言っちゃいますと、
 グランヴィルさんの作品中、私ネーさがいっちばん好きなのは
 この御本では《彗星の大旅行》という題名で紹介されている彩色木版画です。
 荒俣宏さん訳のファンタジーストーリー、
 ロード・ダンセイニ著『魔法の国の旅人』の表紙画に
 用いられたこともある美しい画ですから、
 御存知の方もおられるかもしれませんね。

「おほしさまのォ、わんだーわーるどォ!」
「がるるるぐるるるー!」(←訳:皆で観にゆこうー!)
コメント
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