テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

真夜中のハードボイルド?

2011-06-27 23:14:05 | ブックス
 こんにちは、ネーさです。
 昨日&今日の東京・多摩地域は、霧に覆われたお天気でしたが……

「こんにちわッ、テディちゃでス!
 とおくのォ、おやまがァ、ぜんぜんッみえませんよゥ!」
「ぐるる!がるるるるーぐるぐる……」(←訳:虎です!しぶとーいこの霧は……)

 ほほほ♪
 あつらえたかのような、とはよく申したものですわ。
 街路を、街灯を、一寸先をもぼんやりとさせる濃い霧に合わせて、
 本日の読書タイムは、こちらを、どうぞ~!

  


 
              ―― カーデュラ探偵社 ――


 
 著者はジャック・リッチーさん、表題作の『カーデュラ探偵社』は1977年に発表されました。
 この御本は日本で独自に編まれたJ・リッチーさんの作品集なのですが、
 ……あら? どうしたの?
 テディちゃ、虎くんも、なんだか顔色がよろしくありませんことよ?

「もッ、もしやッ、これはッ…!」
「ぐるがるるる…!」(←訳:この表紙の空気は…!)
「どッ、どどどどッ」
「がるぐるるるるがるっ!」(←訳:ドラで始まるアレだぁ!)

 はい、そこまでー!
 いいですこと、テディちゃ、虎くん、
 表紙画でお分かりのように、確かにこの御方――
 主人公のカーデュラさんときたら、すごく怪しいわ!
 ものすご~く怪し過ぎるくらい怪しい!
 でもね、巻末の解説で羽柴壮一さんが指摘しておられる通り、
 本文中には、
 一言も出てこないのよ。
 カーデュラさんが『吸☆△』だとか、
 『ドラ▽◆◎伯爵』だとか、
 そういう単語は一切使われていないの。

 けれど、すべての状況証拠は厳然たる事実を示唆しているのです。
 
 長身に、
 全身黒づくめの服装、
 肌は異様に青白く、
 鏡には映らず、
 十字架を嫌い、
 怪力の持ち主であり、
 昼間は絶対に活動しない……!

 そして極め付けは、
 カーデュラ(Cardula)という名を
 ちょちょいっと入れ替えてみると、
 現われ出るのはDrac――

「うきゃァ~~ッ!」
「がる~~っ!」

 ああ、しかし、しかしです。
 闇の眷属の王たる彼が、故郷の城でのほほ~んと、
 してはいられない時代がやって来ていたのでした。
 お城は政府に没収されて、
 俗っぽく観光化されちゃうし、
 世界情勢の変化で投資しておいた財産は紙クズと化し、
 もはやこの国に居場所はない……!

「そッ、そォなのでスかァ??」
「が…るるぐるがるー」(←訳:ド…も大変なんだねー)

 そんなこんなで、カーデュラさん、新大陸――合衆国へ移住しました。
 したのはいいけれど、
 先立つモノがないことに、
 ほとほと困っているカーデュラさん。
 或る看板を掲げます。

 『カーデュラ探偵社』!
 営業は夜間のみ!

「やかんッ、てェ~…」
「がるるぐる~…」(←訳:探偵社って~…)

 夜の住人がハードボイルド探偵を目指すと、
 いったいそこにはどんなミステリが生まれるのでしょう?

 日本ではあまり知られていない
 作者のジャック・リッチーさんは
 短編の名手として本家『ヒッチコックマガジン』『EQMM』などに
 数多くの作品を発表したミステリ作家さんでした。
 
 ミステリ好きさん、
 ユーモアもの大好き!という御方、
 ド……ファンの方々に、おすすめの怪作です。
 ふっふっふっ♪
 ぜひ御一読を~♪

「にッ、にげてもォ、いいよねッ??」
「がるるるぐるぐるがるる~!」(←訳:逃げる準備をしながら、読もう~!)
 

 
コメント
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