テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

森の奥へは、行ってはならぬ?

2012-04-10 23:42:59 | ブックス
 こんにちは、ネーさです。
 ここ、東京の八王子でも、ソメイヨシノがほぼ満開になりましたよ~♪
 淡サクラ色の花珠は、手毬のようですね。
 佳きかな佳きかな~♪♪

「こんにちわッ、テディちゃでス!
 おねがいィでスッ、さくらさんッ、まだァちらないィでッ!」
「がるる!がるるぐるっがるるる!」(←訳:虎です!もっとお花を見ていたい!)

 人間の勝手な理屈だと分かっているのですが、
 もうすこし、出来れば週末まで、
 美しい桜花を眺めていたいですね。
 贅沢な私たちは、
 お花の下で、さあ、読書タ~イム!
 本日は、こちらを、どうぞ~!

  


 
              ―― 裏返しの男 ――


 
 著者はフレッド・ヴァルガスさん、原著は1999年に、日本語版は2012年1月に発行されました。
 仏語原題は『L’HOMME A L’ENVERS』、
 著者のヴァルガスさんは本国フランスでとても人気の作家さんで、
 国際的にも評価が高く、
 英国の権威あるミステリの章CWA賞をはじめ、幾つもの賞を受賞している御方です。
 
「ほほゥ~♪
 おふらんすのォ、さッかさんならばァ~」
「ぐるるがる!」(←訳:舞台はパリ!)

 そうね、フランスの首都パリ!……も出てくるのですが、
 物語の主な舞台は、
 大都市ではなく、地方の、村や野山なんです。
 なぜ、というなら
 この御本のテーマは――

  《人狼伝説》!

「ぎえーッ! おおかみィにんげんッ!」
「がるるるぐるがるぐるるっ?」(←訳:ミステリじゃなくて御伽噺っ?)

 いいえ、御伽噺ではないんですよ。
 トンデモでもファンタジーでもない、
 現代のフランスで、でも主題というか、モチーフは……
 人狼伝説。

 オオカミが既に絶滅してしまった日本では
 実感し難いのですけれど、
 欧州では、オオカミへの恐怖、嫌悪、忌避、といったネガティブな感情が
 まだ根強く残っているようです。
 その理由のひとつは、
 フランスの土壌にある、とも言えるでしょうか。

「どじょうゥ~??」
「がるぐるがるるぅ?」(←訳:お土地柄ですかぁ?)

 フランスは、EU最大の農業国です。
 食糧自給率は110%を超え、
 国土の多くが農業用地や酪農用地!

 そんな土地柄の、
 農業や酪農に従事して暮らす人々の目に、
 オオカミはいったいどのように映るものなんでしょう?
 それはたぶん――

  大事な羊が!山羊が! 
  仔牛さんが!
  オオカミにもってかれちゃ、明日から生きてゆけないわ!
  それに、オオカミなんぞにそこらへんをウロウロされたら
  おっかなくって農作業だって出来やしない~!

「ふァいッ! こわいぃでスからねッ!」
「がるるぐるがるるぐる!」(←訳:みんな商売あがったりだ!)

 日本と違い、
 ヨーロッパにはまだ野生のオオカミたちがいるんです。
 イタリアアルプスの山中にひっそり棲息している……はず、でしたが。

 フランスの或る村で事件は起きました。

 巨大な顎と牙の傷跡を刻まれ、
 無残な姿で発見されたのは、羊たち。
 その数が、じわり、じわりと増えてゆき、
 被害はやがて、
 羊以外の生きものに……

「むひゃわうゥ~ッ! こわいィでスよゥ~ッ!」
「がるる~!」(←訳:SOS~!)

 これはオオカミの所業なのか、
 それともヒトが係わっているのか、
 もしかしてもしかすると人狼が……?

 英国や米国、そして日本のミステリとも雰囲気を異にする、
 このフランス産ストーリーは、
 ミステリや警察小説よりも、
 むしろエンタな文芸作品として捉えていただきたい御本です。
 ミステリ好きさんだけでなく、
 広~く活字マニアさんにおすすめしたい一冊、
 本屋さんや図書館で、ぜひ探索&一読を~!

「おおかみよけにはァ、すずをォ、はだみィはなさずゥにねッ!」
「がるるぐるがるるーる!」(←訳:それはクマ避けだよー!)
 
 
コメント
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