「こんにちわッ、テディちゃでッス!
さむいィけどォ、つりーがァきらきらッ!」
「がるる!ぐるるるるがるー!」(←訳:虎です!あちこちにイルミ!)
こんにちは、ネーさです。
そうね、大掛かりなイルミネーションを見ることが出来て、
冷え込む夕暮れも考えようによっては得した気分になれますね。
本日の読書タイムでも、
損した……と思ってたけど
実はそうじゃなかった?な御本に登場していただきましょう。
さあ、こちらを、どうぞ~!
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―― トオリヌケ キンシ ――
著者は加納朋子(かのう・ともこ)さん、2014年月に発行されました
つい先ごろ映画化された『ささら さや』の原作者として
活字マニアさんたちにお馴染みの、著者・加納さんの最新刊のテーマは――
“病”です。
「えええェッ? びょうきィッ?」
「ぐっぐるるるっ」(←訳:なっ治りますかっ)
おっとと、落ち着いて。
病気といっても、いろいろあります。
いろいろな病気が、この御本に収録されている物語から、
ひょっこりと顔を出します。
お医者さんも暗い表情をする、深刻な病気。
あるいは、
他人からすればぜ~んぜん病気とは思われないような、
けれど本人にとってはもうどうしようもなく
苦しくて苦しくて……というような状態。
「どッちのォ、びょうきィもォ~」
「がるるるる!」(←訳:つらいよう!)
御本の、4番目に収録されている
『フーアー・ユー?』。
この物語の主人公であり語り手の“僕”も、
或る病気ゆえの苦痛に苛まされています。
僕=佐藤くんが患っているのは
相貌失認(そうぼうしつにん)という、
人の顔が識別できない病気なのですが。
実際には、病気ではなく、
先天性もしくは後天性の脳の障害であって、
そんなに珍しくもないもの、なんだとか。
「じゃあァ、おくすりはァ?」
「ぐるる?」(←訳:ないの?)
ええ、特効薬なんてない、んですって。
お薬なんてなくても大丈夫!生きてけるわ!
と、呑気なお医者さまは笑うことでしょう。
でもね、佐藤くん本人にしてみればそうも行かないわよね。
お父さんやお母さん――家族の顔が分からない、
近所の住人さん、学校の友だち、先生、
どの顔も、識別できない――分からない……。
ただ、ものごとは観方で変わります。
ひとり密かに悩んでいた佐藤くん、
こういう事例があるのだと、
決して珍しいことではないのだと知ってからは
気持ちが楽になりました。
なぁんだ、僕だけじゃなかったんだ。
僕には責任のない、仕方のないことだったんじゃないか。
「ふぅむゥ、なるほどォ!」
「がるるるるぐる!」(←訳:佐藤くんに賛成!)
気の持ちようを切り替えて、
佐藤くんの高校生活は明るくなってゆきます。
ところが、そこへ晴天の霹靂!
「ひゃあッ! まさかのッ!」
「がるる!」(←訳:告白だ!)
恋?
こんな僕が……恋?
カノジョの顔も見分けられないってのに?!?
「どどどッどうするゥ?」
「ぐるるるる!」(←訳:どうしよう?)
“病(やまい)でない病(やまい)”を抱えた佐藤くんの、
恋の行方は――
「めげちゃだめでスッ、さとうくんッ!」
「がるぐるるるぅ!」(←訳:応援してるよぅ!)
“病”。
私たちにはコントロールできない“何か”。
著者・加納さんは、あたたかく、おおらかに、
人間の手には余る“何か”と向き合う僕や私を描いています。
おそらくこれは、
『無菌病棟より愛をこめて』の著者・加納さんだからこそ
描き得た物語なのかもしれません。
読み手は、さまざまな場面に
僕や私を発見して、
打ちのめされるか、それとも、励まされるか――
「みんながァ、さとうくんッ!」
「ぐるるがるるる!」(←訳:みんなおんなじ!)
短編6作品、どれもこころに残ります。
すべての活字マニアさんに、おすすめですよ!
さむいィけどォ、つりーがァきらきらッ!」
「がるる!ぐるるるるがるー!」(←訳:虎です!あちこちにイルミ!)
こんにちは、ネーさです。
そうね、大掛かりなイルミネーションを見ることが出来て、
冷え込む夕暮れも考えようによっては得した気分になれますね。
本日の読書タイムでも、
損した……と思ってたけど
実はそうじゃなかった?な御本に登場していただきましょう。
さあ、こちらを、どうぞ~!
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―― トオリヌケ キンシ ――
著者は加納朋子(かのう・ともこ)さん、2014年月に発行されました
つい先ごろ映画化された『ささら さや』の原作者として
活字マニアさんたちにお馴染みの、著者・加納さんの最新刊のテーマは――
“病”です。
「えええェッ? びょうきィッ?」
「ぐっぐるるるっ」(←訳:なっ治りますかっ)
おっとと、落ち着いて。
病気といっても、いろいろあります。
いろいろな病気が、この御本に収録されている物語から、
ひょっこりと顔を出します。
お医者さんも暗い表情をする、深刻な病気。
あるいは、
他人からすればぜ~んぜん病気とは思われないような、
けれど本人にとってはもうどうしようもなく
苦しくて苦しくて……というような状態。
「どッちのォ、びょうきィもォ~」
「がるるるる!」(←訳:つらいよう!)
御本の、4番目に収録されている
『フーアー・ユー?』。
この物語の主人公であり語り手の“僕”も、
或る病気ゆえの苦痛に苛まされています。
僕=佐藤くんが患っているのは
相貌失認(そうぼうしつにん)という、
人の顔が識別できない病気なのですが。
実際には、病気ではなく、
先天性もしくは後天性の脳の障害であって、
そんなに珍しくもないもの、なんだとか。
「じゃあァ、おくすりはァ?」
「ぐるる?」(←訳:ないの?)
ええ、特効薬なんてない、んですって。
お薬なんてなくても大丈夫!生きてけるわ!
と、呑気なお医者さまは笑うことでしょう。
でもね、佐藤くん本人にしてみればそうも行かないわよね。
お父さんやお母さん――家族の顔が分からない、
近所の住人さん、学校の友だち、先生、
どの顔も、識別できない――分からない……。
ただ、ものごとは観方で変わります。
ひとり密かに悩んでいた佐藤くん、
こういう事例があるのだと、
決して珍しいことではないのだと知ってからは
気持ちが楽になりました。
なぁんだ、僕だけじゃなかったんだ。
僕には責任のない、仕方のないことだったんじゃないか。
「ふぅむゥ、なるほどォ!」
「がるるるるぐる!」(←訳:佐藤くんに賛成!)
気の持ちようを切り替えて、
佐藤くんの高校生活は明るくなってゆきます。
ところが、そこへ晴天の霹靂!
「ひゃあッ! まさかのッ!」
「がるる!」(←訳:告白だ!)
恋?
こんな僕が……恋?
カノジョの顔も見分けられないってのに?!?
「どどどッどうするゥ?」
「ぐるるるる!」(←訳:どうしよう?)
“病(やまい)でない病(やまい)”を抱えた佐藤くんの、
恋の行方は――
「めげちゃだめでスッ、さとうくんッ!」
「がるぐるるるぅ!」(←訳:応援してるよぅ!)
“病”。
私たちにはコントロールできない“何か”。
著者・加納さんは、あたたかく、おおらかに、
人間の手には余る“何か”と向き合う僕や私を描いています。
おそらくこれは、
『無菌病棟より愛をこめて』の著者・加納さんだからこそ
描き得た物語なのかもしれません。
読み手は、さまざまな場面に
僕や私を発見して、
打ちのめされるか、それとも、励まされるか――
「みんながァ、さとうくんッ!」
「ぐるるがるるる!」(←訳:みんなおんなじ!)
短編6作品、どれもこころに残ります。
すべての活字マニアさんに、おすすめですよ!