テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 理系詩人の空 ~

2016-05-15 23:40:21 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 おめでとうゥ、ばるせろなッ!」
「がるる!ぐるがるる……」(←訳:虎です!残念レアル……)

 こんにちは、ネーさです。
 最後の最後まで競り合ったバルサとレアルでしたが、
 リーガの王者となったのはバルセロナ。
 メッシさんやネイマールくんのファンの皆さま、おめでとう!
 実はレアルを応援していた私ネーさ、
 涙を拭って、読書タイムで元気を復活させましょう。
 本日は、さあ、こちらの御本を、どうぞ~♪
 
  



       ―― グッド・フライト、グッド・ナイト ――



 著者はマーク・ヴァンホーナッカーさん、
 原著は2015年に、日本語版は2016年2月に発行されました。
 英語原題は『SKYFARING A Journey with a Pilot』、
 『パイロットが誘う最高の空旅』と日本語副題が付されています。

「むふゥ~♪ ひょうしがァ、すてきィ~でス!」
「ぐるるるがるる!」(←訳:空の青と雲の白!)

 こんなに美しい光景を
 毎日のように眺めることができる職業。

 それは、飛行機の操縦士――パイロットさん。

 著者・ヴァンホーナッカーさんは、
 まさにそのパイロットを職業とする御方で、
 しかも、現役さんなんです。

「じゃあァ、いまもォ??」
「がるるぐるるっ!」(←訳:飛行中ですかっ!)

 ええ、現在も、大型旅客機の操縦士として
 世界を飛び回っているヴァンホーナッカーさん、なんですけど、
 ずいぶんとユニークな経歴をお持ちです。

 少年の頃から飛行機が好きで、大好きで、
 でも、好きすぎたために、
 敢えて、パイロットを目指しませんでした。
 夢は夢のままに、と。

 故郷マサチューセッツの大学を卒業後は、
 イギリスの大学院でアフリカ史を研究し、
 より本格的にアフリカ史に取り組もうとケニアへ渡り、
 そこでようやく気付いたのです。

 飛ぶことを、生涯の仕事にしたい――

「れきしィのォ、けんきゅうゥ~からァ?」
「ぐるるっる!」(←訳:パイロット!)

 いえいえ、ヴァンホーナッカーさんの遠回りは続きます。

 大学院を中退し、奨学金を返済し、
 フライトスクールの費用を稼ぐために、
 ボストンで経営コンサルタントの職に就きました。

 なぜ経営コンサルタント?なのかというと、
 出張が多い仕事だから。
 出張のたびに飛行機に乗れることろに惹かれた、のですねえ。

「ふァ~…」
「がる~…」

 そして、ついに念願達成!
 フライトスクールで学んだヴァンホーナッカーさん、
 29歳にして旅客機の操縦士となりました。

 ロンドンに自宅を構え、
 向かうは、アメリカ、中東、日本などアジアへも、
 思う存分、飛びまくります♪

「やッたでスねッ!」
「ぐるるるる!」(←訳:おめでとう!)

 念願かなった嬉しさゆえか、
 空の旅のあらゆる面、ほんの小さな出来事も、
 ヴァンホーナッカーさんの眼には優しく、
 好ましく映るようです。

 複雑なフライトスケジュールも、
 長時間のフライトによる疲労も、
 身体が感じる時差のキツさも、
 飛ぶ喜びに比べれば。

「なんのそのッ♪」
「がるぐる!」(←訳:心は躍る!)

 飛行士であり、名文章家、といえば
 作家のサン=テグジュペリさんですが、
 ヴァンホーナッカーさんも美しい風景の描写で
 読み手を空へと誘います。

 操縦席から目にする、
 コントレイル(飛行機雲)の美しさ。

 夕暮れの空の、白、ピンク、えもいわれぬ青の、
 見事なグラデーション……。

「ううゥ~、うらやましィ~!」
「ぐるるがるる!」(←訳:ご一緒したい!)

 高校の夏休みには金沢にホームステイしたこともあるという、
 親日家のヴァンホーナッカーさんと、
 もしかしたら私たちは、
 東京のどこかですれ違っているかもしれません。
 ロンドン~東京のフライトで、
 新宿のホテルに宿泊したり、
 明治神宮を訪れたりもするそうですから。

「それはァ、ますますゥ!」
「がるるるるるぐるるる!」(←訳:羨ましくなるお仕事だ!)

 ニューヨークタイムズ紙ベストセラー、
 エコノミスト誌の年間ベスト・ブックにもなった
 ノンフィクションのジャンルに属する御本、ですが
 頻繁に文学作品への言及もあり、
 詩人さんが著した旅エッセイのようにも感じられます。

 品格ある、優雅な空の旅の記録を、
 理系さんも文系さんも
 ぜひ、一読くださいな♪
 

コメント
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