テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

筆よ、運べ。

2016-05-23 22:01:22 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 きょうはァ、きけんッでしたでスゥ!」
「がるる!ぐるがる~!」(←訳:虎です!この暑さ~!)

 こんにちは、ネーさです。
 来ましたねえ、熱中症の恐怖を感じ、
 アイスクリームを2個3個とパクついてしまう日々が。
 今シーズン初めて冷房をオンにした本日は、
 “小説らしい小説”作品を、どうぞ~♪
 
  



           ―― ツバキ文具店 ――



 著者は小川糸(おがわ・いと)さん、2016年4月に発行されました。
 ええ、活字マニアの皆さまは御存知ですよね、
 ここ数年、文具に関する図鑑やムック本が頻々と刊行されていることを。

「ふァいッ! はやッてるゥのでス!」
「ぐるぐるがるるぐる!」(←訳:そもそも必需品だし!)

 文房具とかステーショナリーとか
 呼び方は色々ですが、
 PC、スマホがどれほど普及しようと、
 鉛筆、ボールペン、ノートにハサミ、テープ……
 必要なんですよね、文具って。

 鎌倉の、小高い山のふもとにある、
 《ツバキ文具店》にも
 オーソドックスな文房具が並んでいます。

 ノート、消しゴム、コンパス、定規、糊、画鋲、
 マジックペン、便箋に封筒、と
 定番路線の品物と、
 そして。

 看板には掲げられていない、
 或る“もの”も。

「かたちのォ、ないものッ!」
「がるるぐるるるる!」(←訳:あると嬉しいもの!)

 雨宮鳩子(あめみや・はとこ)さんは、
 ツバキ文具店の店主さんであり、また
 代書屋さんでもあります。

 いえ、江戸時代から続いている
 由緒正しき代書屋さんだそうですから、むしろ、
 代書屋さんの方が本業であると申せましょう。

「でもォ、だいじょうぶゥでスかァ??」
「ぐるるがるるぐるっる?」(←訳:イマの時代に代書って?)

 メールとSNS全盛の現代に、
 代書業が割り込む余地はあるのか?

 冒頭で、読み手さんは不安に思い、心配もします。
 いまや代書屋さんは説滅危惧種なのではないか、と。

 けれど、そうでもないっていうのが
 世の中の面白いところ!

「わふゥ! おきゃくさんでスッ!」
「がるぐるる!」(←訳:代書希望の!)

 鳩子さんを、
 代書をしてくれるツバキ文具店を訪ねて、
 ごく近所から、はたまた遠くから、
 代書希望者さんがやってきます。

 簡単そうにみえるけど、そうでもない?暑中見舞い。

 繊細な気遣いを要するお悔やみ状。

 プライヴェートなもの、
 ややオフィシャルなもの、と
 代書希望者さんの数だけ、
 《送りたい手紙》はある――

「むむゥ~、はとこさんッ、にんきィでスねッ!」
「ぐるるるがるるぐる!」(←訳:あるんだ代書の需要!)

 前回&前々回記事では、
 マンガが主役でした。

 視覚、セリフ、効果音等々、
 巨大な情報量を持つ表現=マンガに対し、
 小説――文字は、何が出来るのか?

 そんな問いがあるとしたら、
 答えはここ、
 この作品の中に見つかるかもしれません。

 一族代々の知識と智慧を受け継いだ鳩子さんが、
 そのすべてを傾注して、
 紙に向かい、
 筆を執る。

 誰かの代わりに。
 誰かのために。

「ふゥ~むゥ! これならッ!」
「がるるるるぐるるるる!」(←訳:繁盛するね代筆屋さん!)

 鳩子さんと、
 四季おりおりの鎌倉の清々しさ。

 全活字マニアさんにおすすめです!
 ぜひぜひ、一読を~♪
 
 
 
コメント
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