「こんにちわッ、テディちゃでス!
よッ! せんりょうゥ~やくしゃァ!」
「がるる!ぐるる~!」(←訳:虎です!成田屋~!)
こんにちは、ネーさです。
響く拍子木、上がる幕、拍手に掛け声――
はい、本日の読書タイムは、
前回記事に続いて《江戸》をテーマとした
こちらの御本を、さあ、どうぞ~♪
―― 歌舞伎江戸百景 ――
著者は藤澤茜(ふじさわ・あかね)さん、
2022年2月に発行されました。
『浮世絵で読む芝居見物ことはじめ』
と副題が付されています。
「はじまりはァ、きょうとッ!」
「ぐっるがっる!」(←訳:踊って踊って!)
伝えられるところでは、
出雲阿国さんによって創始された、という
歌舞伎踊り。
実際には、阿国さんが一座を立ち上げるより前から、
京都の河原で、或いは寺社の境内などで、
『かぶき踊り』『ややこ踊り』
と呼ばれる芸能が評判となっていたようです。
そして、野原と湿地だった東国のド田舎に、
江戸という名の町が新しく誕生して――
「かぶきィ、ほんかくゥしどうッ!」
「がるるぐっるぅる!」(←訳:劇場も作っちゃう!)
こんな演目がある!
こんなスーパースターがいる!
こんな物語やこんな衣装が大ヒット中!
といった“歌舞伎最新情報“を、
江戸の人びとに、地方の人びとに、
いっちばん効果的に知らしめる方法は……
そう、浮世絵です。
この御本では、
第1章『江戸っ子は芝居と浮世絵が大好き!』
第2章『浮世絵と歌舞伎で読み解く江戸時代』
第3章『浮世絵で見る歌舞伎の名シーン』
第4章『江戸の大スター 市川團十郎家』
第5章『大スクープは歌舞伎と浮世絵で知る』
と、5つの章で
江戸の町に大輪の花を咲かせた
《歌舞伎》の表&裏を追いかけてゆきますよ。
「きもののォでざいんッ、わんだふるゥ!」
「ぐるるるがるぅる!」(←訳:すこぶるオシャレ!)
収録されているのは、
広重さん、写楽さん、国芳さんたち
人気絵師さんだけではなく、
作者不詳のもの、無名に近い絵師さんのもの、と
有名無名を問わぬ100点余。
どれも本当に色鮮やかで、
着物の絵柄、
髷の形、
指先の繊細な表現までも
はっきり印刷されていて、
版画好きな方々には堪らないでしょう♫
芝居小屋の土間の、観衆の熱気。
名場面を真似て遊ぶ子どもたち。
流行りの小物雑貨が描き入れられていたり、
楽屋のドタバタぶりも拝見できたり。
「これがァ、がくやうらッ??」
「がる~る!」(←訳:面白~い!)
本文42~43ページの
歌川国貞(三代豊国)さん作『中村屋楽屋之図』には、
役者さんたちが行き交う舞台裏の様子が活写されていますが、
いやぁ、すごいわ、これ……
楽屋って、こんなに大所帯なの?
「にんずうゥ、かぞえェきれませんッ!」
「ぐるるがーるぐるる!」(←訳:芝居はチームなんだ!)
江戸の町を沸かせた
一大文化のパワーが
確かに感じられる《百景》の愉しさ。
図版に加えて
解説の文章も充実していますから、
江戸アート好きな方々はもちろん、
歴史好きな活字マニアさんに
おすすめですよ。
本屋さんで、図書館で、
ぜひ、探してみてくださいね~♫