テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 開幕を、鐘が歌う ~

2022-06-22 23:18:03 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 おォ~! これはァ、ゆりィのはなァ~♪」

「がるる!ぐるるるぅっる!」(←訳:虎です!ドラマティック!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 お花屋さんに色んな種類のヒマワリが並ぶ一方、

 近所のお家の庭にはユリの花が咲き始めました。

 白、ピンク、黄色……

 存在感たっぷりのユリたちを眺めつつ、

 さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♫

  

 

 

   ―― すべての季節のシェイクスピア ――

 

 

 著者は松岡和子(まつおか・かずこ)さん、

 単行本は1993年に、

 画像の文庫版は2022年4月に発行されました。

 

 1993年より23年をかけて、

 とうとう2021年、

 シェイクスピアさんの戯曲全37本を翻訳、

 ちくま文庫『シェイクスピア全集』全33巻を完結!

 という偉業を成し遂げたのが、著者・松岡さん。

 

 この御本には、

 松岡さんの《シェイクスピア事始め》から

 《文庫版あとがき》まで、

 シェイクスピアさんの作品に寄せるエッセイ、

 インタビューなどが収録されています。

 

「まずはァ、はくしゅゥ!」

「ぐるるがるる~!」(←訳:大仕事でした~!)

 

 シェイクスピアさんの戯曲全部を

 個人で全訳……それも、

 英語とは言語の系統がまったく異なる日本語に。

 

 その労苦を想像すると気が遠くなりますが、

 『プロローグ 私のシェイクスピア事始め』で

 さっそく私たち読み手を驚かせてくれます。

 

   大学の英文科に進学はしたけれど、

   イギリス文学、アメリカ文学のいずれを学ぶか、

   小説、詩、戯曲、評論、英語学の

   どれに興味があるのか、

   自分でも皆目わからず。

 

   それでも、卒業までにシェイクスピア作品を

   原語で読んでおかなきゃ、

   と決意して『シェイクスピア研究会』に

   入ろうと思った――

 

「そのォ、ちいさなァ~いッぽがァ」

「がるるぐるる!」(←訳:偉大な一歩に!)

 

 松岡さんは、

 シェイクスピア作品を“訳すひと”であるだけでなく、

 “観るひと”でもあります。

 

 翻訳を進める傍ら、

 熱く、静かに見守ってきたのは、

 英国の、日本の、シェイクスピア劇。

 

 『ロミオとジュリエット』『夏の夜の夢』

 『オセロー』『リチャード三世』『マクベス』

 『リア王』『ハムレット』……

 

 有名な、というより

 有名すぎる作品を

 どう演出するか、どう演じるか。

 

 演出家さんへ、役者さんへ、

 松岡さんが向ける眼差しは、

 ゆったりと穏やかです。

 

「はくしゅとォ、しょうさんッ!」

「ぐるるるがるるるるる!」(←訳:すべての演劇人さんに!)

 

 ほろりとさせられてしまうのは、

 お父さまの思い出を織り込んだ

 『リア王』についての章、

 蜷川幸雄さんの足跡が滲む

 『終わりよければすべてよし』。

 

 長らく入手困難となっていたこの御本は、

 演劇ファンの方々に、

 シェイクスピアさん好きな活字マニアさんにも

 おすすめの一冊ですよ。

 ぜひ、手に取ってみてくださいね~♫

 

 

コメント
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