「こんにちわッ、テディちゃでス!
おォ~! これはァ、ゆりィのはなァ~♪」
「がるる!ぐるるるぅっる!」(←訳:虎です!ドラマティック!)
こんにちは、ネーさです。
お花屋さんに色んな種類のヒマワリが並ぶ一方、
近所のお家の庭にはユリの花が咲き始めました。
白、ピンク、黄色……
存在感たっぷりのユリたちを眺めつつ、
さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♫
―― すべての季節のシェイクスピア ――
著者は松岡和子(まつおか・かずこ)さん、
単行本は1993年に、
画像の文庫版は2022年4月に発行されました。
1993年より23年をかけて、
とうとう2021年、
シェイクスピアさんの戯曲全37本を翻訳、
ちくま文庫『シェイクスピア全集』全33巻を完結!
という偉業を成し遂げたのが、著者・松岡さん。
この御本には、
松岡さんの《シェイクスピア事始め》から
《文庫版あとがき》まで、
シェイクスピアさんの作品に寄せるエッセイ、
インタビューなどが収録されています。
「まずはァ、はくしゅゥ!」
「ぐるるがるる~!」(←訳:大仕事でした~!)
シェイクスピアさんの戯曲全部を
個人で全訳……それも、
英語とは言語の系統がまったく異なる日本語に。
その労苦を想像すると気が遠くなりますが、
『プロローグ 私のシェイクスピア事始め』で
さっそく私たち読み手を驚かせてくれます。
大学の英文科に進学はしたけれど、
イギリス文学、アメリカ文学のいずれを学ぶか、
小説、詩、戯曲、評論、英語学の
どれに興味があるのか、
自分でも皆目わからず。
それでも、卒業までにシェイクスピア作品を
原語で読んでおかなきゃ、
と決意して『シェイクスピア研究会』に
入ろうと思った――
「そのォ、ちいさなァ~いッぽがァ」
「がるるぐるる!」(←訳:偉大な一歩に!)
松岡さんは、
シェイクスピア作品を“訳すひと”であるだけでなく、
“観るひと”でもあります。
翻訳を進める傍ら、
熱く、静かに見守ってきたのは、
英国の、日本の、シェイクスピア劇。
『ロミオとジュリエット』『夏の夜の夢』
『オセロー』『リチャード三世』『マクベス』
『リア王』『ハムレット』……
有名な、というより
有名すぎる作品を
どう演出するか、どう演じるか。
演出家さんへ、役者さんへ、
松岡さんが向ける眼差しは、
ゆったりと穏やかです。
「はくしゅとォ、しょうさんッ!」
「ぐるるるがるるるるる!」(←訳:すべての演劇人さんに!)
ほろりとさせられてしまうのは、
お父さまの思い出を織り込んだ
『リア王』についての章、
蜷川幸雄さんの足跡が滲む
『終わりよければすべてよし』。
長らく入手困難となっていたこの御本は、
演劇ファンの方々に、
シェイクスピアさん好きな活字マニアさんにも
おすすめの一冊ですよ。
ぜひ、手に取ってみてくださいね~♫