テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 語らず、されど黙さず ~ 

2022-10-14 21:13:22 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 むむゥ! こんかいィもォ、でんせつゥ~!」

「がるる!ぐるるがるるるぐる!」(←訳:虎です!伝説の作家さんだね!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 前回記事の“伝説の画家さん”本から、

 さあ、今回は“伝説の作家さん”へ。

 本日の読書タイムは、

 万人が認める“伝説の人“の↓こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

    ―― 彼女の思い出 / 逆さまの森 ――

 

 

 著者はJ・D・サリンジャーさん、

 2022年7月に発行されました。

 日本で独自に編まれたこの作品集には、

 『A GIRL I KNEW / THE INVERTED FOREST』

 と英語題名が付されています。

 

「せかいじゅうゥでェ、にんきィ~なのでス!」

「ぐるるがるぐるる!」(←訳:寡黙な御方でした!)

 

 ジェローム・デヴィッド・サリンジャーさん(1919~2010)。

 

 1940年『若者たち』でデビュー、

 1951年に長編作品『キャッチャー・イン・ザ・ライ』を刊行し

 世界的ベストセラーとなるも、

 1965年に『ハプワース16、1924年』を発表後は、

 あらゆるオファーを拒み、

 沈黙を守り続けたまま没した“伝説のひと”――

 

 この御本には、

 本国では出版されていない作品を含む

 サリンジャーさんの小説9篇が収録されています。

 

「わほゥ! これはァ、めずらしィ~!」

「がるぐる!」(←訳:ほぼ中編!)

 

 ええ、そうなんですよね、

 サリンジャーさんは御自身で、

 『私は短距離走者で、長距離は得意じゃない』、

 つまり、私は短編以外は書かない作家なんだよ、

 と発言していたのですが、

 表題作品にもなっている2篇のうちの1篇

 『逆さまの森』は、

 中編といえる分量なんです。

 

 あらためて、収録順に御紹介しますと、

 

 『彼女の思い出』

 『ヴァリオニ兄弟』

 『おれの軍曹』

 『ボーイ・ミーツ・ガールが始まらない』

 『すぐに覚えます』

 『ふたりの問題』

 『新兵に関する個人的な覚書』

 『ブルー・メロディ』

 そして

 『逆さまの森』。

 

 1941年から1951年にかけて

 サリンジャーさんが著した上記の9作品には、

 それぞれ度合いは異なりますが、

 或る《影》が差しています。

 

「それはァ……せんそうゥ!」

「ぐるるる……!」(←訳:戦争の影……!)

 

 御本の一番手に収録されている

 『彼女の思い出』は、

 クスクス笑ってしまう描写から幕を開けます。

 

 大学1年生のジョン青年は、

 ううむ、やってしまいました……

 五科目中五科目を落っことして、

 楽しい学生生活はここで終了。

 

 父親には怒られ、母親には嘆かれ、

 明日からうちの会社で働け!と宣告され、

 しまったなぁ~と思ったりしていましたが。

 

 数日後、父親は前言を撤回し、

 新たな命令を下したのです。

 

   ――ヨーロッパに行って

    外国語をひとつふたつ勉強してこい――

 

「……りゅうがくゥ?」

「がるる!」(←訳:留学だ!)

 

 のっぽで痩せっぽっち、

 ヘビースモーカーな

 お金持ちのボンボン青年は、

 1936年、大西洋横断航路で、意気揚々と欧州へ。

 

 ウィーンに到着したら、

 えーと、うん、ドイツ語を習得する、んだっけ。

 

「なんだかァ、たよりないィ~?」

「ぐるるがる~?」(←訳:大丈夫かな~?)

 

 微笑ましくさえある物語の前半部分は、

 後半部分になると……?

 

 ネタバレ回避のため、

 これ以上は記せませんが、

 読み手のこころを深々と動かす

 表題作品に相応しい名作ですよ。

 

「かんまつのォ、かいせつもッ」

「がるぐる!」(←訳:必読です!)

 

 沈黙の作家さんが遺した幾多の物語のうちの、

 ほんの9作品。

 けれど、見過ごしにはできない9作品。

 

 サリンジャーさんのファンの方々、

 海外文学好きな活字マニアさんは、

 どうかぜひ、一読してみてくださいね~♪

 

 

コメント
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