テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ ワルツよ、終わるな ~

2022-10-28 21:36:14 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 そろそろォ、しゅうまつゥ~でス!」

「がるる!ぐるるるるがる~!」(←訳:虎です!行楽日和の週末~!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 好天になりそうな10月最後の週末は、

 さて、お外へ出掛けるか、

 のんびりインドアで読書か……

 私インドア派です!という方々は、

 さあ、こちらの御本はいかがでしょう~♫

  

 

 

     ―― The Best Mysteries 2022 ――

 

 

 編者は日本推理作家協会の皆さん、

 2022年6月に発行されました。

 『ザ・ベスト・ミステリーズ 推理小説年鑑』

 と副題が付されています。

 

 2021年に発表された短編推理小説の中から

 プロの読み手さんたちが熟練の眼で選び抜いた、

 というこの御本に収録されているのは(せーの!)、

 

 逸木裕さん著『スケーターズワルツ』

 大山誠一郎さん著『時計屋探偵と二律背反のアリバイ』

 芦沢央さん著『アイランドキッチン』

 川瀬七緒さん著『攻撃のSOS』

 杉山幌さん著『光を描く』

 大門剛明さん著『手綱を引く』

 笛吹太郎さん著『コージーボーイズ あるいは謎の喪中はがき』

 米澤穂信さん著『ねむけ』

 

 の8作品です。

 

「どのォさくひんもォ、すぺしゃるゥ!」

「ぐるるがる!」(←訳:粒選りだよ!)

 

 愛犬家さんは落涙必至の『手綱を引く』、

 《黒後家蜘蛛の会》を意識した『コージーボーイズ…』、

 仕立屋探偵さんの眼力が冴える『攻撃のSOS』……

 

 8作品どれも詳しく解説しまくりたいんですけど、

 ここはグッと堪えて、

 1作品を御紹介するに留めましょう。

 

「それはァ、いちばんめェのォ~」

「がるる!」(←訳:こちら!)

 

 逸木裕さんの『スケーターズ・ワルツ』。

 

 この御本の“トップバッター“となった

 逸木さんの作品の舞台は、

 冬の軽井沢です。

 しかも、クリスマスシーズン真っ只中の。

 

「きらきらのォ、かるいざわッ?」

「ぐるがるる~!」(←訳:絵になるね~!)

 

 調査業のお仕事をしている

 榊原みどりさんは、

 三日間の冬季休暇を取って軽井沢を訪れ、

 繁華な通りをそぞろ歩いているところです。

 

 歩き疲れて、足はクタクタ、

 お腹も空いたし……。

 

「むッ! みつけァましたでスゥ!」

「がるるるぐる!」(←訳:良さげなお店!)

 

 道端のカフェバーから流れて来たのは、

 ピアノの音。

 誘われるように扉をくぐったみどりさんは、

 美しい音楽と、

 おいしい食事を堪能し、

 そして同時に。

 

 相席になった或る人物の、

 思い出話に付き合うことになりました。

 

「はなやかでェ~」

「ぐるる?」(←訳:残酷な?)

 

 それは、

 ひとりの《指揮者》さんの物語。

 

 ラセンのように上昇し、

 木の葉のように風に呑まれてゆく、

 若き音楽家さんの魂の叫び――

 

 音楽の都、ウィーン。

 かの地で花開こうとする

 輝かしい才能の持ち主に

 いったい何が起こったのか。

 

 遠く離れた軽井沢のレストランで、

 みどりさんは“事実“を察します、が……?

 

「きぼうとォ、しつぼうッ?」

「がるるぐる……!」(←訳:甘くて苦い……!)

 

 第75回(令和4年度)の

 日本推理作家協会賞短編部門を受賞した

 『スケーターズ・ワルツ』は、

 ミステリ好きさんに限らず、

 全活字マニアさんにおすすめの快作ですよ。

 

 また、御本冒頭の

 京極夏彦さんによる『序』も

 読み逃さないでくださいね。

 私たち”読み手”の心を奮い立たせる名文を、

 どうか皆さま、ぜひ……!

 

 

コメント
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