「こんにちわッ、テディちゃでス!
そろそろォ、しゅうまつゥ~でス!」
「がるる!ぐるるるるがる~!」(←訳:虎です!行楽日和の週末~!)
こんにちは、ネーさです。
好天になりそうな10月最後の週末は、
さて、お外へ出掛けるか、
のんびりインドアで読書か……
私インドア派です!という方々は、
さあ、こちらの御本はいかがでしょう~♫
―― The Best Mysteries 2022 ――
編者は日本推理作家協会の皆さん、
2022年6月に発行されました。
『ザ・ベスト・ミステリーズ 推理小説年鑑』
と副題が付されています。
2021年に発表された短編推理小説の中から
プロの読み手さんたちが熟練の眼で選び抜いた、
というこの御本に収録されているのは(せーの!)、
逸木裕さん著『スケーターズワルツ』
大山誠一郎さん著『時計屋探偵と二律背反のアリバイ』
芦沢央さん著『アイランドキッチン』
川瀬七緒さん著『攻撃のSOS』
杉山幌さん著『光を描く』
大門剛明さん著『手綱を引く』
笛吹太郎さん著『コージーボーイズ あるいは謎の喪中はがき』
米澤穂信さん著『ねむけ』
の8作品です。
「どのォさくひんもォ、すぺしゃるゥ!」
「ぐるるがる!」(←訳:粒選りだよ!)
愛犬家さんは落涙必至の『手綱を引く』、
《黒後家蜘蛛の会》を意識した『コージーボーイズ…』、
仕立屋探偵さんの眼力が冴える『攻撃のSOS』……
8作品どれも詳しく解説しまくりたいんですけど、
ここはグッと堪えて、
1作品を御紹介するに留めましょう。
「それはァ、いちばんめェのォ~」
「がるる!」(←訳:こちら!)
逸木裕さんの『スケーターズ・ワルツ』。
この御本の“トップバッター“となった
逸木さんの作品の舞台は、
冬の軽井沢です。
しかも、クリスマスシーズン真っ只中の。
「きらきらのォ、かるいざわッ?」
「ぐるがるる~!」(←訳:絵になるね~!)
調査業のお仕事をしている
榊原みどりさんは、
三日間の冬季休暇を取って軽井沢を訪れ、
繁華な通りをそぞろ歩いているところです。
歩き疲れて、足はクタクタ、
お腹も空いたし……。
「むッ! みつけァましたでスゥ!」
「がるるるぐる!」(←訳:良さげなお店!)
道端のカフェバーから流れて来たのは、
ピアノの音。
誘われるように扉をくぐったみどりさんは、
美しい音楽と、
おいしい食事を堪能し、
そして同時に。
相席になった或る人物の、
思い出話に付き合うことになりました。
「はなやかでェ~」
「ぐるる?」(←訳:残酷な?)
それは、
ひとりの《指揮者》さんの物語。
ラセンのように上昇し、
木の葉のように風に呑まれてゆく、
若き音楽家さんの魂の叫び――
音楽の都、ウィーン。
かの地で花開こうとする
輝かしい才能の持ち主に
いったい何が起こったのか。
遠く離れた軽井沢のレストランで、
みどりさんは“事実“を察します、が……?
「きぼうとォ、しつぼうッ?」
「がるるぐる……!」(←訳:甘くて苦い……!)
第75回(令和4年度)の
日本推理作家協会賞短編部門を受賞した
『スケーターズ・ワルツ』は、
ミステリ好きさんに限らず、
全活字マニアさんにおすすめの快作ですよ。
また、御本冒頭の
京極夏彦さんによる『序』も
読み逃さないでくださいね。
私たち”読み手”の心を奮い立たせる名文を、
どうか皆さま、ぜひ……!