テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 走る画家、逃げる画家 ~

2022-10-13 21:33:53 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 もうゥすぐゥ~かんせいィ!」

「がるる!ぐるるるるる!」(←訳:虎です!待ち遠しいね!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 《ジブリパーク》の内覧会が開催され、

 一般公開へのカウントダウンが始まりましたね♪

 メイちゃんたちのお家に、トトロの森、

 映画館、パン屋さん、書店に模型屋さん……

 行ってみたいわ~と野望を抱きつつ、

 さあ、読書タイムですよ。

 本日は、こちらの“超大作“アート本を、どうぞ~!

  

 

 

      ―― カラヴァッジョ ――

 

 

 著者は石鍋真澄(いしなべ・ますみ)さん、

 2022年8月に発行されました。

 『ほんとうはどんな画家だったのか』

 と日本語副題が付されています。

 

 ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョさん(1571~1610)。

 

 行ってみたい&旅してみたい、と

 思い願うところ多々あれど、

 さて、この御方の場合は、いかがなものでしょうか……

 

   お会いしたい!

   ずっと会ってみたかったんです!

 

 とは、ちょっと言い難いような?

 

「なぜならァ、おりがみィつきのォ~」

「ぐるるるがーるー!」(←訳:トラブルメーカー!)

 

 俵屋宗達さん、狩野永徳さん、

 長谷川等伯さんといった日本の画家さんと

 ほぼ同世代であったカラヴァッジョさんの画業は、

 彼が引き起こした数々のトラブルを抜きにして

 語ることは出来ません。

 

 故郷を出奔したのも、

 ローマから逐電したのも、

 マルタ島に身を潜めたのも、

 すべてカラヴァッジョさん自身の

 “身から出た錆“。

 

 そして、錆を振り払うかのように、

 描いて、描いて、なおも描いて。

 

「ううゥ、むねんッなのでス!」

「がっるぐるるるるがるるっる!」(←訳:もっと長生きして欲しかった!)

 

 おそらく自分でも分かっていたことでしょう。

 俺、このままじゃマズいよなぁ、と。

 

 アンガーマネジメントをして

 喧嘩を控えれば、

 パトロンは喜んでくれる、

 生活は落ち着く、

 もっとたくさん描くことも出来る……

 

「わかッていてもォ~…」

「ぐるがるるるぐるる~…」(←訳:ままならないよねえ~…)

 

 著者・石鍋さんは、

 先ずカラヴァッジョさんの洗礼式の記録を皮切りに、

 両親の血筋、

 徒弟として修行していた時代の記録や、

 ローマでの活動を開始してゆく様子などを、

 現在判明している限りの資料から綿密に、

 かつ丁寧に再現してゆきます。

 

 ことに、ローマでの暮らしを

 《黄金の三年間》

 と評しているのは印象的ですね。

 

「めいさくゥ、ざくざくゥ!」

「がるぐるるる!」(←訳:一躍人気者に!)

 

 仕事の注文が増え、

 収入が増え、

 けれど、警察沙汰も増えてゆく。

 挙句の果てに……殺人者となって、

 放浪の日々へ。

 

 匿ってもらうため、

 官憲から守ってもうらために

 絵筆をとる。

 

 それはカラヴァッジョさんにとって

 不本意極まりなかったのかもしれず、

 大したことではなかったのかもしれず。

 

 ほろほろと、傑作を産み落としながら、

 恩赦の報せを待つ日々……。

 

「まいにちィ、くたくたァ……?」

「ぐるがっるるるぐるる……」(←訳:すり減っていく命の灯……)

 

 闇を背景に、

 浮きあがる人物の顔。

 その比類なき陰影。

 

 カラヴァッジョさんの代表作についての

 新たな解釈を提示し、

 後世の美術界に

 カラヴァッジョさんが与えた影響も推し量り、

 著者・石鍋さんが

 終章で明らかにする

 《ほんとうはどんな画家だったのか》。

 

 巻頭部分には

 カラヴァッジョさんの作品のカラー図版が、

 本文内には

 モノクロではありますが、

 多数の図版資料が収録されています。

 

 カラヴァッジョさんのファンの方々に、

 アート好きな活字マニアさんに

 激おすすめの快作ですよ。

 分厚さ重たさにめげず臆せず、

 ぜひ、手に取ってみてくださいね~♫

 

 

コメント
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