テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 地図を手に、想い描くは ~

2022-10-30 21:31:18 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 わおッ! まじょさんッ!」

「がるる!ぐるるぅるる!」(←訳:黒猫ちゃんも!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 ハロウィーンを明日に控えて、

 街には仮装をしているチビッ子ちゃんがちらほらと♪

 みんな可愛いわぁ~と見惚れながら、

 さあ、読書タイムですよ。

 本日は、こちらのエッセイ作品を、どうぞ~!

  

 

 

    ―― 探偵小説五十年 探偵小説昔話 ――

 

 

 著者は横溝正史(よこみぞ・せいし)さん、

 編者は日下三蔵(くさか・さんぞう)さん、

 2022年6月に発行されました。

 『横溝正吏エッセイコレクション①』

 と副題が付されています。

 

「えッせいィ??」

「ぐるるるる!」(←訳:横溝さんの!)

 

 私ネーさ、恥ずかしながら知りませんでした……

 名探偵・金田一耕助さんの“生みの親“である

 横溝正史さんが、

 こんなにたくさんのエッセイを書いておられたとは!

 

 この御本について説明しますと、

 柏書房さんから刊行された

 『横溝正史ミステリ短篇コレクション』(全6巻)、

 『由利(ゆり)・三津木(みつぎ)探偵小説集成』(全4巻)、

 『横溝正史少年小説コレクション』(全7巻)

 に続く横溝正史シリーズの完結篇が、

 『横溝正史エッセイコレクション』(全3巻)

 なのだそうです。

 

 そして、

 可能な限り初刊の形に戻して再編集したという

 『エッセイコレクション』の①には、

 戦時中の禍々しい闇を潜り抜け、

 本格探偵小説作家として

 一躍その名を高めてゆく横溝さんの仕事ぶりが

 ずっしりみっしり描写されていますよ。

 

 とりわけ、手に汗握ってしまったのは――

 

「くうしゅうゥけいほうゥ~!」

「がるるぐるる!」(←訳:夜空に機影が!)

 

 第二次世界大戦(太平洋戦争)末期、

 横溝正史さんの住居は

 東京都下・吉祥寺にありました。

 

 そのお家で横溝さんは、

 空襲警報下の最中でも

 友人から借りた英米の探偵小説を

 読みふけったりしていたのですが。

 

 3月10日の東京大空襲の報を耳にした親戚から、

 疎開してはどうか、と促されます。

 

 迷いを覚えつつも、

 3月下旬、横溝さんは疎開の決意を固めました。

 行き先は……

 岡山県の農村。

 

 そう、岡山県は、

 横溝さんのお父さまの出身地……ではあるものの、

 訪れたこともない”未知の地“で。

 

 さっそく本屋さんで

 岡山県の地図を買ってきた横溝さんが

 調べ始めたのは。

 

「……うみッ?」

「ぐるー!」(←訳:海だー!)

 

 海と、島。

 疎開先云々よりも、

 横溝さんの心をとらえたのは、

 瀬戸内海の島々だったのです。。

 

   もう戦争も長くはあるまい。

   戦争が終わったら

   瀬戸内海を舞台にして、

   本格探偵小説なるものを書いてみよう――

 

「うむうむッ!」

「がるるぐるるー!」(←訳:書いて書いてー!)

 

 ところが、

 よぉし! 意気揚々と島巡りに出発!

 ……とは、行かなかったんです。

 

 実は、そのぅ、横溝さん、

 乗り物恐怖症の傾向があって。

 

 船は………ムリ。

 

「せせせッ、せんせいィ~ッ!」

「ぐるがるるー!」(←訳:そこですかー!)

 

 いえいえ、心配は要りません。

 横溝さん、ツイていました。

 瀬戸内海の島で学校の先生をしていた人物が、

 疎開先の土地に居たのです。

 

「やッほゥ!」

「がるっる!」(←訳:良かった!)

 

 かくして、

 ひとつの物語が編み上げられてゆきました。

 

 南洋から帰国した

 名探偵・金田一耕助さんが出会う謎――

 『獄門島』の悲劇が。

 

「おかやまにィ、かんしゃッなのでス!」

「ぐるがるぐるっるる!」(←訳:疎開してなかったら!)

 

 作品執筆の経緯や背景、

 江戸川乱歩さん、小栗虫太郎さん、

 海野十三さん他、

 錚々たる作家さんたちとの交流など、

 戦前~戦後の記録。

 怒濤の日々の思い出。

 

 探偵・金田一耕助さんを愛する方々に、

 激おすすめのエッセイ集です。

 特に、20世紀ミステリ好きな活字マニアさんは

 必読の一冊ですよ。

 ぜひ、手に取ってみてくださいね~♪

 

 

コメント
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