「こんにちわッ、テディちゃでス!
ぷるるるゥ、こごえちゃうゥ~!」
「がるる!ぐるがるる~?」(←訳:虎です!真冬みたい~?)
こんにちは、ネーさです。
除雪のため、札幌ではササラ電車が出動!との報に、
うわあ、今年は厳冬になっちゃうのかなあ?
とドキドキしながら、さあ、読書タイムですよ。
本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪
―― 山の上の家事学校 ――
著者は近藤史恵(こんどう・ふみえ)さん、
2024年3月に発行されました。
《ビストロ・パ・マル》シリーズや『サクリファイス』他、
ミステリ作品で人気の著者・近藤さん……ですが、
この作品は、ちょっと様子が違っていて?
「あれッ? かおいろォ、よくないィ~でスよゥ?」
「ぐるるるるぅるる?」(←訳:痩せたんじゃない?)
最近、語り手の”ぼく“――
仲上幸彦(なかがみ・ゆきひこ)さんは、
↑こういった質問を受けることが増えました。
ええ、それも道理なんです。
顔色があまり良くなくて、
体重も落ち気味なのは、
コンビニごはん、サンドイッチ、
といった食事ばかりなんですから。
「ううゥ、それはァだめェでスよゥ!」
「がぅるるぐるるる~!」(←訳:ちゃんと食べよう~!)
一年前までは、こうではありませんでした。
では、一年前、
幸彦さんに何が起こったのかというと……
離婚、です。
「ああァ~…」
「がる~る……」(←訳:うう~ん……)
栄養たっぷりの食事、
掃除の行き届いた部屋、
心地良いお風呂タイム、
幼い愛娘さんとのかけがえのないひととき、
そういったすべては、
離婚届の提出と同時に
失われてしまいました。
原因は、ええ、分かっているんです。
幸彦さん、忙し過ぎました。
新聞社の政治部に所属して、
一面に大きく記事が載ったこともある
優秀な記者さんのスケジュールは、
ある意味、常軌を逸していて。
「まいにちィ、しゅざいィ!」
「ぐるるがるる!」(←訳:朝から晩まで!)
激務に追われ、
妻の鈴菜(すずな)さんと語り合うことも、
家事を担うこともなくなった幸彦さん、
愛想を尽かされた、んです。
或る日、帰ってみれば、
妻がいない。
娘の理央(りお)ちゃんもいない。
冷え切った部屋で、
離婚の書類を手に呆然として。
それから、一年。
幸彦さんもまた、
愛想を尽かそうとしています。
こんな自分に。
荒んだ食生活も、
カビ臭い部屋も、
鈴菜さんと理央ちゃんに会えない日々も、
すっぱり終わりにしたい。
「うんうんッ、やめちゃいィましょゥ!」
「がるるぐるーる!」(←訳:目指せリボーン!)
幸彦さんの背中をグイっと押すのは、
妹・和歌子さんからのアドヴァイス。
大阪の北部に
男性のための家事の学校があるんだって。
お兄ちゃん、行ってみれば?
「かじをォ、まなぶゥ……!」
「ぐるるがる?」(←訳:出来るかな?)
家事を学ぶ。
それだけのことで
幸彦さんは”自分”を変えられるのか。
家族と再びこころを通わせること、
笑顔を取り戻すことも?
交互に押し寄せる希望と疑念、
それでも、流れを変えようと踏ん張る幸彦さん。
彼へ、エールを送るか、
ふんっ、いまさら!とせせら笑うか、
読み手の私たちへも問い掛ける物語は、
全活字マニアさんにおすすめですよ。
本屋さんで、図書館で、
ぜひ、探してみてくださいね~♪