テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 山のあなたに、幸いは ~

2024-11-19 22:03:06 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 ぷるるるゥ、こごえちゃうゥ~!」

「がるる!ぐるがるる~?」(←訳:虎です!真冬みたい~?)

 

 こんにちは、ネーさです。

 除雪のため、札幌ではササラ電車が出動!との報に、

 うわあ、今年は厳冬になっちゃうのかなあ?

 とドキドキしながら、さあ、読書タイムですよ。

 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

           ―― 山の上の家事学校 ――

 

 

 著者は近藤史恵(こんどう・ふみえ)さん、

 2024年3月に発行されました。

 《ビストロ・パ・マル》シリーズや『サクリファイス』他、

 ミステリ作品で人気の著者・近藤さん……ですが、

 この作品は、ちょっと様子が違っていて?

 

「あれッ? かおいろォ、よくないィ~でスよゥ?」

「ぐるるるるぅるる?」(←訳:痩せたんじゃない?)

 

 最近、語り手の”ぼく“――

 仲上幸彦(なかがみ・ゆきひこ)さんは、

 ↑こういった質問を受けることが増えました。

 

 ええ、それも道理なんです。

 顔色があまり良くなくて、

 体重も落ち気味なのは、

 コンビニごはん、サンドイッチ、

 といった食事ばかりなんですから。

 

「ううゥ、それはァだめェでスよゥ!」

「がぅるるぐるるる~!」(←訳:ちゃんと食べよう~!)

 

 一年前までは、こうではありませんでした。

 

 では、一年前、

 幸彦さんに何が起こったのかというと……

 

 離婚、です。

 

「ああァ~…」

「がる~る……」(←訳:うう~ん……)

 

 栄養たっぷりの食事、

 掃除の行き届いた部屋、

 心地良いお風呂タイム、

 幼い愛娘さんとのかけがえのないひととき、

 そういったすべては、

 離婚届の提出と同時に

 失われてしまいました。

 

 原因は、ええ、分かっているんです。

 

 幸彦さん、忙し過ぎました。

 

 新聞社の政治部に所属して、

 一面に大きく記事が載ったこともある

 優秀な記者さんのスケジュールは、

 ある意味、常軌を逸していて。

 

「まいにちィ、しゅざいィ!」

「ぐるるがるる!」(←訳:朝から晩まで!)

 

 激務に追われ、

 妻の鈴菜(すずな)さんと語り合うことも、

 家事を担うこともなくなった幸彦さん、

 愛想を尽かされた、んです。

 

 或る日、帰ってみれば、

 妻がいない。

 娘の理央(りお)ちゃんもいない。

 冷え切った部屋で、

 離婚の書類を手に呆然として。

 

 それから、一年。

 

 幸彦さんもまた、

 愛想を尽かそうとしています。

 

 こんな自分に。

 

 荒んだ食生活も、

 カビ臭い部屋も、

 鈴菜さんと理央ちゃんに会えない日々も、

 すっぱり終わりにしたい。

 

「うんうんッ、やめちゃいィましょゥ!」

「がるるぐるーる!」(←訳:目指せリボーン!)

 

 幸彦さんの背中をグイっと押すのは、

 妹・和歌子さんからのアドヴァイス。

 

 大阪の北部に

 男性のための家事の学校があるんだって。

 お兄ちゃん、行ってみれば?

 

「かじをォ、まなぶゥ……!」

「ぐるるがる?」(←訳:出来るかな?)

 

 家事を学ぶ。

 それだけのことで

 幸彦さんは”自分”を変えられるのか。

 家族と再びこころを通わせること、

 笑顔を取り戻すことも?

 

 交互に押し寄せる希望と疑念、

 それでも、流れを変えようと踏ん張る幸彦さん。

 

 彼へ、エールを送るか、

 ふんっ、いまさら!とせせら笑うか、

 読み手の私たちへも問い掛ける物語は、

 全活字マニアさんにおすすめですよ。

 本屋さんで、図書館で、

 ぜひ、探してみてくださいね~♪

 

コメント
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