テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ フェアリーテイルを、一献 ~

2024-11-04 22:03:49 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 さいこうのォ~おでかけェびよりィ!」

「がるる!ぐるるがるる!」(←訳:虎です!秋晴れだよね!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 お散歩によし、ショッピングによし、

 一日の~んびりするのも良好な連休の最終日、

 ぽかんとスキマ時間が生まれたら、

 さあ、読書タイムを、どうぞ~♪

  

 

 

         ―― 中国のフェアリー・テール ――

 

 

 著者はローレンス・ハウスマンさん、

 原著は1904年に、画像の日本語版は2024年9月に発行されました。

 英語原題は『A CHINESE FAIRY-TALE』、

 昔々の中国を舞台にした

 短編小説作品です。

 

「あれれッ? さしえがァ、ないィでスよゥ!」

「ぐるるがるるるぅ?」(←訳:手違いなのかなぁ?)

 

 ええ、この御本に一葉の挿絵もないと分かって

 ガッカリする御方もいるかもしれません。

 

 著者のローレンス・ハウスマンさん(1865~1959)は、

 英国のウスターシャ―に生まれ、

 ロンドンの美術学校で学んだのち、

 挿絵画家としてデビューしました。

 最も広く知られているのは

 ラファエル前派の詩人であるクリスティーナ・ロセッティさんの

 『ゴブリン・マーケット』(1893年)

 の挿絵作品でしょうか。

 

 細密な木版画による、

 中世美術を想わせるハウスマンさんの作品は、

 当時のアーツ&クラフツ運動とも合致して、

 人気があったのですが、

 眼病を患ったために、

 ハウスマンさんは絵画から離れ、

 詩作、小説や演劇作品の執筆に

 活動の域を移してゆきました。

 

「ふァ~…おしまれまスゥ……!」

「がるるぐるるっるる!」(←訳:挿絵を見たかったよ!)

 

 ああ、もしも、この御本に

 ハウスマンさんの挿絵作品が載っていたなら……!

 と、心から嘆息してしまう、

 美しい物語の主人公は――

 

 貧しい下働きの少年、

 ティキ・プーくん。

 

 ティキ・プー少年は、

 有名な画家が主宰する画塾で

 雑用係をしています。

 

 先生や塾生たちが使う

 絵の具をとき、

 絵筆を洗い、

 台紙に紙を張り、

 掃除をし、

 障子を修理し、

 使い走りも食事の支度もして……と、

 あらゆる雑務を命じられる、

 そんな日々の中で。

 

 ティキ・プーくんのこころが

 嬉しさに波立つのは、

 絵の具に触れられる僅かな時間です。

 

 怠け者の塾生たちの代わりに、

 絵の具を混ぜ合わせて

 色を作る。

 

 それに、先生が講義をするときは、

 床掃除しながら

 しっかり聞き耳を立てて、

 美術史を丸暗記!

 

「うふふゥ! いいぞ~!」

「ぐるがる~!」(←訳:行け行け~!)

 

 画塾の壁には、

 宣誓の美術史講義にも出てくるような

 名だたる画家さんたちの作品が

 いくつか飾られています。

 

 ティキ・プーくんをとりわけ惹きつけるのは、

 ウィ・ウォニさんという、

 300年前の画家さんの作品でした。

 

 そして、

 広々とした庭園を描いたその絵には、

 或る伝説が……?

 

「しィ~ッ! ねたばれェきんしィ!」

「がるぐるがるるる!」(←訳:その先は絶対秘密!)

 

 ティキ・プーくんの、夢の夢。

 夢路の末は、はたして。

 

 本文はたった20ページ、

 ごく短い小説作品ではありますが、

 訳者・松岡享子さんによる文章は

 ティキ・プーくんのこころ模様を活き活きと描き、

 私たち読み手に忘れ難いひとときをもたらします。

 少年少女さん、

 オトナな活字マニアさんも、

 どうか、ぜひ、一読を♪

 

 

コメント
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