「こんにちわッ、テディちゃでス!
さいこうのォ~おでかけェびよりィ!」
「がるる!ぐるるがるる!」(←訳:虎です!秋晴れだよね!)
こんにちは、ネーさです。
お散歩によし、ショッピングによし、
一日の~んびりするのも良好な連休の最終日、
ぽかんとスキマ時間が生まれたら、
さあ、読書タイムを、どうぞ~♪
―― 中国のフェアリー・テール ――
著者はローレンス・ハウスマンさん、
原著は1904年に、画像の日本語版は2024年9月に発行されました。
英語原題は『A CHINESE FAIRY-TALE』、
昔々の中国を舞台にした
短編小説作品です。
「あれれッ? さしえがァ、ないィでスよゥ!」
「ぐるるがるるるぅ?」(←訳:手違いなのかなぁ?)
ええ、この御本に一葉の挿絵もないと分かって
ガッカリする御方もいるかもしれません。
著者のローレンス・ハウスマンさん(1865~1959)は、
英国のウスターシャ―に生まれ、
ロンドンの美術学校で学んだのち、
挿絵画家としてデビューしました。
最も広く知られているのは
ラファエル前派の詩人であるクリスティーナ・ロセッティさんの
『ゴブリン・マーケット』(1893年)
の挿絵作品でしょうか。
細密な木版画による、
中世美術を想わせるハウスマンさんの作品は、
当時のアーツ&クラフツ運動とも合致して、
人気があったのですが、
眼病を患ったために、
ハウスマンさんは絵画から離れ、
詩作、小説や演劇作品の執筆に
活動の域を移してゆきました。
「ふァ~…おしまれまスゥ……!」
「がるるぐるるっるる!」(←訳:挿絵を見たかったよ!)
ああ、もしも、この御本に
ハウスマンさんの挿絵作品が載っていたなら……!
と、心から嘆息してしまう、
美しい物語の主人公は――
貧しい下働きの少年、
ティキ・プーくん。
ティキ・プー少年は、
有名な画家が主宰する画塾で
雑用係をしています。
先生や塾生たちが使う
絵の具をとき、
絵筆を洗い、
台紙に紙を張り、
掃除をし、
障子を修理し、
使い走りも食事の支度もして……と、
あらゆる雑務を命じられる、
そんな日々の中で。
ティキ・プーくんのこころが
嬉しさに波立つのは、
絵の具に触れられる僅かな時間です。
怠け者の塾生たちの代わりに、
絵の具を混ぜ合わせて
色を作る。
それに、先生が講義をするときは、
床掃除しながら
しっかり聞き耳を立てて、
美術史を丸暗記!
「うふふゥ! いいぞ~!」
「ぐるがる~!」(←訳:行け行け~!)
画塾の壁には、
宣誓の美術史講義にも出てくるような
名だたる画家さんたちの作品が
いくつか飾られています。
ティキ・プーくんをとりわけ惹きつけるのは、
ウィ・ウォニさんという、
300年前の画家さんの作品でした。
そして、
広々とした庭園を描いたその絵には、
或る伝説が……?
「しィ~ッ! ねたばれェきんしィ!」
「がるぐるがるるる!」(←訳:その先は絶対秘密!)
ティキ・プーくんの、夢の夢。
夢路の末は、はたして。
本文はたった20ページ、
ごく短い小説作品ではありますが、
訳者・松岡享子さんによる文章は
ティキ・プーくんのこころ模様を活き活きと描き、
私たち読み手に忘れ難いひとときをもたらします。
少年少女さん、
オトナな活字マニアさんも、
どうか、ぜひ、一読を♪