「こんにちわッ、テディちゃでス!
ふうゥ、たべすぎィ~なのでスゥ!」
「がるる!ぐるるがるる~…」(←訳:虎です!お腹が苦しい~…)
こんにちは、ネーさです。
身体に優しい七草粥を、
ゆったりと適量(←ここ大事!)いただいた後は、
さあ、読書タイムですよ。
本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪
―― 病葉草紙 ――
著者は京極夏彦(きょうごく・なつひこ)さん、
2024年8月に発行されました。
『病葉草紙』は『わくらばそうし』とお読みくださいね。
「おォ~いッ、とらごろうゥやァ~いィ!」
「ぐるるるがるぐる?」(←訳:どうしたクマさん?)
ここは、八丁堀から程近い、
因幡(いなば)町の藤左衛門(とうざえもん)長屋。
今日も今日とて、
店子(たなこ)さんが寝込んじゃあいないか、
きちんと仕事(つとめ)に出掛けたか、
店賃(たなちん)は工面できたか、
等々の心配事を抱えてやって来たのは、
大家さんの一人息子の、
藤介(とうすけ)さんです。
老齢の父・藤左衛門さんに代わって、
実質的に長屋運営のマネジメントを担っているのは、
まだ二十代の藤介さん、な訳で。
「おうッ、とうすけさんッ、てえへんだッ!」
「がるるぐるがっるるるる!」(←訳:あいつ全然食ってねえぞ!)
にぎやかな店子のおかみさんたちと
軽くお喋りしながら、
藤助さん、長屋の棟の左奥の戸口に向かいます。
久瀬棠庵(くぜ・とうあん)さん。
おかみさんたちに”うらなり”と呼ばれている棠庵さんは、
ちょいとばかし浮世離れしていて、
放っておくと、書物に夢中で、飯を食うのも忘れっちまう。
おおい、棠庵さん、生きてるかぁ~?
「だいじょぶゥ~!」
「ぐるるるるがるるる!」(←訳:とりあえず生きてた!)
ああだこうだと、
藤介さんと棠庵さんが無駄話をしている、
ちょうどそこに。
事件が!
「おッ? どうしたッてんでいィ?」
「がるぐぅる?」(←訳:お初ちゃん?)
棠庵さんの真向かいの部屋から、
ゆらりと出てきたのは、店子のひとり、
まだ十五歳の、お初さん。
その顔に、血の気はありません。
いったいどうした? 何事だ?と訊ねても、
動揺しているお初さんは、
まともな会話や説明も出来ず泣くばかり。
一方、棠庵さんは言うのです。
《虫――ですこれは》
「むしィ?」
「ぐるっるる?」(←訳:ムシって虫?)
”事件”の現場を見ても
俺には何も分からないのに、
棠庵さんの眼には
何かがはっきり映っているらしい……
いや、それにしたって、虫って何だよ?
問いただす藤介さんに、
棠庵さんは――
「まッたァまッたァ!」
「がるるるぐる!」(←訳:そこまででい!)
すべては、虫。虫のせい。
虫、というひと言の背後に
どんな事情が、からくりが隠されているのか、
必死に追いかけ、食らいつく藤介さん。
笑いと涙と機智が
幾重にも仕込まれた痛快連作ミステリは、
虫祓い、いえ、初春の厄祓いにおすすめですよ。
本屋さんで、図書館で、
ぜひ、探してみてくださいね~♪