テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

彼らは無給の、白銀の騎士!

2012-02-02 23:42:41 | ブックス
 こんにちは、ネーさです。
 今日ラジオを聴いていましたら……
 ああ!とうとう!花粉が飛び始めたという情報が~!

「こんにちわッ、テディちゃでス! 
 うわァんッ! かふんッいやでスゥ~ッ!」
「がるる!ぐるぐるぐるるがるるるぅ~!」(←訳:虎です!ボクだって花粉ヤダ~ッ!)

 逃れたくとも逃れられない、花粉の恐怖。
 同じように、目には映りにくい《悪》という恐怖。
 本日の読書タイムは、
 その《恐怖》を突き詰めるノンフィクション作品を、さあ、どうぞ~!

  


 
             ―― 未解決事件(コールド・ケース) ――


 
 著者はマイケル・カプーゾさん、原著は2010年に、日本語版は2011年12月に発行されました。
 『死者の声を甦らせる者たち』と副題が付されています。
 英原題は
『THE MURDER ROOM The Heirs of Sherlock Holmes Gather to Solve the World's Most Perplexing Cold Cases』、
 訳者の日暮雅通さんはこの原著副題を
 『世界で最も難解な未解決事件を解くために集まるシャーロック・ホームズの後継者たち』
 と『訳者あとがき』で訳しておられます。

「ふわァ~、ほーむずさんのォ、こうけいしゃッ??」
「がるるっぐるるぐるがる?」(←訳:たち、ってことは、複数形だね!)

 ええ、後継者さんは、ひとりではありません。
 彼ら&彼女らが所属するのは、
 米国フィラデルフィアに本拠を置く
 《ヴィドック・ソサエティ(VIDOCQ SOCIETY)》。

 《ヴィドック・ソサエティ・メンバー(VSM)》と呼ばれる彼らは、
 営利を目的とせず、
 犯罪と闘う機関や人々に無料で奉仕する専門家集団なのです。

 ミステリ好きさん、あるいは映画好きさんは
 憶えておられるでしょう――
 映画『羊たちの沈黙』の大ヒットを。
 そして、映画の成功によって《プロファイリング》という分析学が
 一挙に注目された経緯を。

「ふァいッ!
 まねするゥえいがッ、いッぱいィ、でましたでスッ!」
「がるるぐるがる!」(←訳:よく似た小説もね!)

 米国のみならず日本でも、
 プロファイラー=心理分析官が
 映画になったりTVドラマで主役になったり。
 では、映像の中の分析官さんたちは
 どれくらい本物に近かったのか、というと……

 全然ちがーう!!

「ぜんぜんッ??」
「がるる?」(←訳:違うの?)

 この御本――『未解決事件』に登場するのは、
 長く現場で、最前線で、犯罪と向き合ってきた捜査官さんたち。
 ことに、《ヴィドック・ソサエティ》創設の中心メンバーとなった
 元連邦捜査官さん、
 犯罪心理学者さん、
 法医学アーティストさんの傑出した業績が
 詳細に記されています。

 考え得る限り最悪の、いえ、想像を絶するほど凶悪な犯罪者たちを、
 《VSM》の面々が狩り出し、
 身柄を確保すべく追い詰めてゆく過程は、
 フィクションなんて蹴散らしてしまう迫力!

「じじつはァ、つよしィ、でス!」
「がるるーぐるるがるる!」(←訳:本物だけが持つパワー!)

 《ヒトの心に宿る悪》との
 熱のこもった闘いから受ける感銘は、
 彼らが決して冤罪に加担しない、という点です。

 犯行手段は分かっている。
 動機も、犯人も分かっている。
 ただ、証拠がまったく無い――

 だからといって、証拠や証言を捏造する、曲げる、という手段を
 《VSM》は選択しません。
 困難な闘いは、困難であるからこそ、
 真摯に、
 嘘や偽りに頼らず、
 背をまっすぐ伸ばして行われます。

 さながら、騎士たちの振舞いの如く。

「さすがはぁ、ほーむずさんのォ、こうけいしゃッ!」
「がるるるぐるぐる!」(←訳:円卓の騎士だよ!)

 一見、犯罪分析をネタにしたキワモノ?と思われるかもしれませんが、
 エンタな語り口の裏には
 ごくごく真面目なノンフィクションの貌が浮かび上がります。
 ミステリ好きさんはもちろん、
 歴史好きさんも、ぜひ~!
 
 
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