テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

“知恵”が導く!

2015-05-11 21:50:27 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ♪るる~♪ごがつのォ~♪いたりあァ~かいがんッ♪」
「がるる!ぐるがるる!」(←訳:虎です!海がきれい!)

 こんにちは、ネーさです。
 ジロ・ディ・イタリア2015の映像に映っているのは
 初夏のイタリア絶景海岸線♪♪
 たっぷり目の保養をしたら、
 さあ、今度は読書欲を満たすべく、
 こちらの伝記作品を、どうぞ~!

  



            ―― 東芝の祖 からくり儀右衛門 ――



 著者は林洋海(はやし・ひろみ)さん、2014年10月に発行されました。
 『日本の発明王 田中久重伝』と副題が付されています。

「からくりッてェ、いうとォ~…」
「ぐるるるがるるる?」(←訳:テケテンテケテン?)

 テケテン、テンテケテン、と
 お囃子の拍子に合わせて動く自動人形。
 歴史ある寺社さんのお祭りでは
 山車の上でからくり人形がお芝居する、ということもありますね。

 この御本の主人公――
 田中久重(たなか・ひさしげ)さんは、
 古今無双の《からくり職人》さんでした。

 江戸末期きっての、
 いえ、おそらくは日本の歴史上でもトップ3に入る、
 からくり人形作家!

「ゆみやをォ、びゅんッ!」
「がるるぐる!」(←訳:文字も書く!)

 《からくり儀右衛門(ぎえもん)》
 《東洋のエジソン》
 とも称された田中近江久重さん(1799~1881)は、
 江戸期の寛永11年~明治14年にかけての、
 まさに激変する時代の只中を、
 自身の“創造力”を武器に生き、
 駆け抜けた人物です。

 田中製造所、現在の株式会社東芝の祖である《儀右衛門》さんは
 筑後久留米藩の、名のある……

「おぶけさまッ?」
「ぐるるる?」(←訳:豪商の子?)

 さぞや恵まれた家の、
 英才教育を受けて育ったお子さんかと思ってしまうんですけれど、
 お父さんの職業は
 べっ甲細工師さん。

 お父さんの弥右衛門さんは
 とても腕の良い職人として有名だったそうです。

「あはァ! しょくにんさんッ!」
「がるるる!」(←訳:共通項だ!)

 べっ甲細工の職人と、
 からくり職人。

 似ているようで、実は共通項は、ごくわずか。
 というのも、《からくり儀右衛門》さんのからくりは、
 ほぼ独学によるものだったのです。

 貸本屋で見つけた『機巧図彙(からくりずい)』なる本が、
 田中さんの制作の源でした。

 時計の内部機構を表した世界初の、
 からくり人形の分解図や制作過程までもが
 詳述されている書物。

 少年であった田中さんが
 その書物を参考に造り出したのは、
 しかし、
 誰も見たことがないような、
 つまりは本家である『機巧図彙』も超えてしまうような、
 驚愕のからくりの数々。

「でんせつゥ、でスねッ!」
「ぐるがるる!」(←訳:重要文化財!)

 少年の日々から、
 からくり興行師、
 さらに発明家として名を成すまで、
 そして会社を興す明治の時代。

 伝記、ではありますが、
 武士ではないひとりの人間が江戸-維新-明治を生きた記録、
 とも捉えられます。
 
「だいこんらんのォ、じだいィでス!」
「がるぐるるっる!」(←訳:でも乗り切った!)

 “知恵”を灯火に、荒波を越えてゆく意気と意志。

 時代小説マニアさんには特におすすめの作品です。
 著者・林さんに拍手しつつ、
 ぜひ、一読を。
 
  
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