「こんにちわッ、テディちゃでス!
かぼちゃはァ~やぱりィ~」
「がるる!ぐるるるがるる!」(←訳:虎です!プリンに限る!)
こんにちは、ネーさです。
今年の冬至のカボチャ料理は、煮物や天ぷら……ではなく、
プリンにしてみましたよww
美味しくいただいたところで、
さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪
―― くもをさがす ――
著者は西加奈子(にし・かなこ)さん、2023年4月に発行されました。
’23年前半期の読書界で大きな話題となったこの御本は、
いわゆる“闘病記“の枠には収まらない
ノンフィクション作品と申しましょうか。
「くもォ、というとォ~…」
「ぐるるがる……?」(←訳:もしやあの……?)
日本からカナダへ移住した著者・西さん。
或る日、身体の不調に気付きます。
左足の膝と、右足のふくらはぎに、
赤い斑点と、猛烈な痒み……?
虫か蜘蛛にでも刺されたのだろうか、と首を傾げつつ、
クリニックに連絡を入れたのでした。
「ややこしィ~のでスゥ!」
「がーるるぐるるぅ!」(←訳:ハードル高いよぅ!)
風邪か?と思えば、近所の内科医さんへ。
ひどい耳鳴りがするのなら、耳鼻咽喉科へ。
切り傷や打ち身は外科か整形外科へ。
花粉症でお肌が荒れてしまったら皮膚科へ。
という具合に、
専門分野のお医者さんにすぐ診てもらえるのが、
日本の医療システムです。
けれど、欧米諸国では、
まずはファミリードクターなどと呼ばれる
総合医さんに連絡を取って、症状を診てもらって、
それから専門医さんに紹介状を書いてもらって、
予約を取って……という方法が一般的なので、
緊急性の高い疾病である場合、
遅々として進まない手続きに
患者さんはどれほど心労を深めることか――
西さんもこのシステムの壁に阻まれ、
さらには言葉の壁にも邪魔されて、
なかなか前に進めません。
赤い斑点……それに、胸のしこり。
私は、病気なのか。
病気なのだとしたら、精密検査は? 治療方法は?
どうしたらいい?
「ふァいッ! そんなときはァ!」
「ぐるるがるる!」(←訳:大声でヘルプ!)
幾つもの壁をようやく乗り越え、
検査を経て、告げられた病名は、乳がん。
まさか私が、と呆然とする西さんですが、
いえ、呆然としたままではいられません、
治療にかからなくては!
西さんが治療を始めるのと同時に、
カナダの医療システムは“本気“モードで動き出します。
そして、
よりいっそう“本気“になったのは、
西さんのご家族&友人知人さんたち!
「ううゥ、ありがたいィ~のでスゥ!」
「がるるる!」(←訳:嬉しいね!)
どんなに医学が進んでも、
最先端医療が普及しても、
重い病に罹れば、こころは揺れます。不安です。
それでも、誰かがいてくれれば、
やがて見えてくるのは、
日常生活をも浸蝕してゆく真っ黒な不安を、
えいやっ!と蹴飛ばすコツ。
とりゃっ!とハネのける方法。
新しい自分を受け入れる、涼やかな境地。
「もうゥ、くもはァ~…」
「ぐるるるっる?」(←訳:いなくなった?)
カナダで、日本で、
コロナ禍と、病と対峙しながら、
未来を探る。
一見飄々としていながらも、
西さんの真情がずしりと凝縮された
渾身のノンフィクション作品です。
全活字マニアの皆さま、ぜひ!