テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 遠く、近く、光は瞬く ~

2023-12-22 22:08:30 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 かぼちゃはァ~やぱりィ~」

「がるる!ぐるるるがるる!」(←訳:虎です!プリンに限る!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 今年の冬至のカボチャ料理は、煮物や天ぷら……ではなく、

 プリンにしてみましたよww

 美味しくいただいたところで、

 さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

            ―― くもをさがす ――

 

 

 著者は西加奈子(にし・かなこ)さん、2023年4月に発行されました。

 ’23年前半期の読書界で大きな話題となったこの御本は、

 いわゆる“闘病記“の枠には収まらない

 ノンフィクション作品と申しましょうか。

 

「くもォ、というとォ~…」

「ぐるるがる……?」(←訳:もしやあの……?)

 

 日本からカナダへ移住した著者・西さん。

 或る日、身体の不調に気付きます。

 

 左足の膝と、右足のふくらはぎに、

 赤い斑点と、猛烈な痒み……?

 虫か蜘蛛にでも刺されたのだろうか、と首を傾げつつ、

 クリニックに連絡を入れたのでした。

 

「ややこしィ~のでスゥ!」

「がーるるぐるるぅ!」(←訳:ハードル高いよぅ!)

 

 風邪か?と思えば、近所の内科医さんへ。

 ひどい耳鳴りがするのなら、耳鼻咽喉科へ。

 切り傷や打ち身は外科か整形外科へ。

 花粉症でお肌が荒れてしまったら皮膚科へ。

 

 という具合に、

 専門分野のお医者さんにすぐ診てもらえるのが、

 日本の医療システムです。

 

 けれど、欧米諸国では、

 まずはファミリードクターなどと呼ばれる

 総合医さんに連絡を取って、症状を診てもらって、

 それから専門医さんに紹介状を書いてもらって、

 予約を取って……という方法が一般的なので、

 緊急性の高い疾病である場合、

 遅々として進まない手続きに

 患者さんはどれほど心労を深めることか――

 

 西さんもこのシステムの壁に阻まれ、

 さらには言葉の壁にも邪魔されて、

 なかなか前に進めません。

 

 赤い斑点……それに、胸のしこり。

 私は、病気なのか。

 病気なのだとしたら、精密検査は? 治療方法は?

 どうしたらいい?

 

「ふァいッ! そんなときはァ!」

「ぐるるがるる!」(←訳:大声でヘルプ!)

 

 幾つもの壁をようやく乗り越え、

 検査を経て、告げられた病名は、乳がん。

 まさか私が、と呆然とする西さんですが、

 いえ、呆然としたままではいられません、

 治療にかからなくては!

 

 西さんが治療を始めるのと同時に、

 カナダの医療システムは“本気“モードで動き出します。

 そして、

 よりいっそう“本気“になったのは、

 西さんのご家族&友人知人さんたち!

 

「ううゥ、ありがたいィ~のでスゥ!」

「がるるる!」(←訳:嬉しいね!)

 

 どんなに医学が進んでも、

 最先端医療が普及しても、

 重い病に罹れば、こころは揺れます。不安です。

 

 それでも、誰かがいてくれれば、

 やがて見えてくるのは、

 日常生活をも浸蝕してゆく真っ黒な不安を、

 えいやっ!と蹴飛ばすコツ。

 とりゃっ!とハネのける方法。

 新しい自分を受け入れる、涼やかな境地。

 

「もうゥ、くもはァ~…」

「ぐるるるっる?」(←訳:いなくなった?)

 

 カナダで、日本で、

 コロナ禍と、病と対峙しながら、

 未来を探る。

 

 一見飄々としていながらも、

 西さんの真情がずしりと凝縮された

 渾身のノンフィクション作品です。

 全活字マニアの皆さま、ぜひ!

 

 

コメント
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