喫茶 輪

コーヒーカップの耳

『あなたという国』

2016-02-01 15:17:03 | ドリアン助川さん
久しぶりに読みごたえのある小説を読ませてもらいました。


『あなたという国』(ドリアン助川著・新潮社)
一昨日に入手したのですが、丁度孫たちが来ていたのでその日は読めませんでした。
なので昨日から読み始めたのです。
しかしもう読んでしまいました。
遅読のわたしにしては珍しいこと。

スケールの大きな小説なのに、繊細なのです。
ニューヨークが舞台で、人種問題、領土問題なども扱われています。
しかし暗くはない。重いはずなのに、重くも感じられない。
底流にロック音楽が流れているからだろうか。登場人物が若いからだろうか。
いやそれだけではなく、作者(助川さん)の繊細で清らかな精神が流れているからでしょう。
途中、こんな箇所があります。
166ページです。
「(略)この世界はたくさんある世界のひとつでしかないと感じられるんだよ。自分を含め、すべてが消えてしまったとしても本当に大きな存在はなにひとつ変わらないんだって。この世界は、そのことを知らないんだ。だから世界ごと孤独なんだよ」
こんな表現、わたし初めて読みました。
「世界ごと孤独」
これは助川さんの発想なのだろうか?
そうなんだろうなあ。
とすると、やはりその感性はスゴイ。

物語の最後はちょっと予想が外れました。
わたしが想像してたより深い所へ誘われました。
単なる物語、楽しい話を読んだというだけではなく、読み手に深く考えさせる小説でした。
読み終えた後、読み手も成長させてもらえるような、そんな小説。
しかしこれ、作者のドリアンさんもおっしゃっているように映画化はちょっと難しいでしょうね。でも出来ないことはないかな?。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『コーヒーカップの耳』

2016-02-01 09:26:04 | 
今日2月1日は、詩集『コーヒーカップの耳』の誕生日です。

出たのは、2001年でしたのでもう15年です。早いですねえ。
帯文を田辺聖子さんが書いて下っての出版でした。これは望外のことでした。
そして朝日新聞の書評欄に、作家の小関智弘さんが取り上げて下さるなど、当時少し話題になりましたので、自費出版の詩集には珍しく4か月後に増刷したのでした。
あれからわたしの人生も少し変わりました。
いろんな人との交流が増え、人生が豊かになりました。
最近もまた、ドリアン助川さん(映画「あん」の原作者)がご自分のフェースブックで詳しく紹介して下さるなど、思わぬ広がりがあったり。ありがたいことでした。

あの表紙絵ですが、洸人画伯にお願いしたのでした。
洸人さんは快く描いて下さいました。
そして実は、8枚の絵を描いて下さっていたのです。
今回初めてお目にかけます。少し写りが悪いですが。

どれでもお好きなのをと言われたのですが、わたしはあまり躊躇せずにあの表紙絵(左上の)に決めました。
そして、続編を出すことがあるようならまた考えようと、他の原画もわたしが持ったままになっています。
続編はエッセイでと思って書き続けていましたが…。
いつのことになるやら?

詩集『コーヒーカップの耳』は、出版元の「編集工房ノア」さん(tel 06-6373--3641)にまだ少し残っているようです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする