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コズモポリス

2013年09月06日 00時38分00秒 | 洋画2012年

 ◇コズモポリス(2012年 フランス、カナダ 110分)

 原題 COSMOPOLIS

 staff 原作/ドン・デリーロ『コズモポリス』

     監督・脚色/デイヴィッド・クローネンバーグ

     撮影/ピーター・サシツキー 美術/アーヴ・グレイウォル

     衣裳デザイン/デニス・クローネンバーグ 音楽/ハワード・ショア

 cast ロバート・パティンソン ジュリエット・ビノシュ サラ・ガドン ケイナーン

 

 ◇リムジンは象徴

 ロバート・パティンソンはその神経質そうな表情といい、

 貧血症のような顔色といい、まさしく、クローネンバーグ好みだ。

 おもわず『デッド・ゾーン』のクリストファー・ウォーケンを思い出しちゃう。

 そんなパティンソンが、

 巨大な男根のようなリムジンに乗って、ふんぞりかえってる。

 純白に輝くリムジンは、かれの富の象徴で、かれの人生のすべてでもある。

 金融操作、身体検査、打ち合わせ、愛人とのセックス…。

 なにもかもがリムジンの中で行われる。

 かれは外に出る必要すらない。

 けど、パティンソンは床屋に行きたい。

 ところが、2マイル先の床屋に行くまでに半日かかり、その間にかれは破産する。

 すごい一日もあったものだけど、

 外に出ないパティンソンがみずから飛び出すのは、妻サラ・ガドンを求めるときだ。

 なにもかも手に入れていたはずのパティンソンは、妻の心だけは手に入れられない。

「あなた、セックスの匂いがするわ」

 そりゃそうだろう。

 ジュリエット・ビノシュ(どうでもいいけど、麻生かおりに似てない?)とだって、

 濃厚なセックスをしたばかりなんだから、リムジンの中の匂いは大変なものだ。

 世の中にはお金で手に入れられないものがあることを、パティンソンは知る。

 けど、もう、おそい。

 かれは元の暴落で破産し、リムジンは床屋へ向かう内に、すっかり様変わりする。

 群衆にもみくちゃにされ、落書きやらなんやらで汚れ切り、息も絶え絶えになる。

 つまり、彼だ。

 こうした象徴を用いて、退廃、倦怠、虚無、異常、情欲、性交、葛藤が語られる。

 やがて、

 パティンソンは、自分を狙う暗殺者が、栄光から絶望に転落した元社員で、

 しかも、自分と同じく前立腺が非対称だと知ることで、自分との相似形であり、

 かつ、床屋の鏡の中で自分の髪までもくちゃくちゃになったように、

 この暗殺者は、鏡の中にはいないものの、もうひとりの自分だと悟る。

 つまり、暗殺者の撃ち放つ銃弾は、

 ちょっと前に自分が手の甲を撃ち抜いた銃弾と同じもので、

 要するに、パティンソンは自殺を求めたってことになるわけだよね。

 いや、まったく、

 なにもかもが比喩と暗喩と見立てで出来てる世界は、

 実に難解。

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