◎フロスト×ニクソン(2008年 アメリカ 122分)
原題 Frost/Nixon
staff 原作・脚本/ピーター・モーガン(戯曲)
監督/ロン・ハワード
製作/ロン・ハワード ティム・ビーヴァン
エリック・フェルナー ブライアン・グレイザー
製作総指揮/ピーター・モーガン トッド・ハロウェル
撮影/サルヴァトーレ・トティーノ 美術/マイケル・コレンブリス
特撮/エリック・J・ロバートソン 特殊メイク/デヴィッド・ルロイ・アンダーソン
衣装/ダニエル・オーランディ 音楽/ハンス・ジマー
cast フランク・ランジェラ マイケル・シーン ケビン・ベーコン レベッカ・ホール
◎1977年5月、インタビュー
主役になっているのは、そこで対談したふたりだ。
元アメリカ合衆国大統領のリチャード・ニクソンと、
コメディアン出身の英テレビ司会者デビッド・フロスト。
ニクソンはウォーター・ゲート事件で大統領を辞任していたんだけど、
3年経ってもなお、国民に対して謝罪してなかった。
それを知ったフロストが、全財産を傾けてニクソンのインタビューを行い、
そこでもって、
「国家を守るためならば、大統領の行動はたとえ違法であっても合法となる」
というような、とんでもない台詞を引き出すことに成功し、
さらに「I'm Sorry」を引き出すまで追い込んでゆく、
まるで、ボクシングの試合を観させられているような作品だった。
主役ふたりの演技はまさに絶妙だったけど、
痰を絡ませ、前屈みでしょぼくれた感じに演ずるフランク・ランジェラよりも、
実際のニクソンはもうちょっと不敵な感じでインタビューを受けてたし、
髪型はほとんど同じなんだけど、笑顔が爽やかすぎな二枚目マイケル・シーンより、
実際のフロストはもうちょっと軽妙な感じでひょうひょうとニクソンに迫ってる。
でも、ふたりとも大したもんだ。
ことにマイケル・シーンは、
ちょっと間違えばジャック・ニコルソンの物真似とも取られかねないような、
切羽詰まった笑い顔を見せるくらい、好かった。
ふたりとも、ヴァンパイア映画に出てるのが妙に皮肉な感じだけど、
それはさておき、
ケビン・ベーコンのようなニクソンをどこまでも崇敬する腹心のいることが、
ニクソンという沈黙の巨人の凄さを伝えてて、これが実は要のひとつにもなってる。
もちろん、ニクソンの家族たちもそうなんだけど、
決して、ニクソン=悪という単純な一方通行の映画になってないのがいいよね。
ちなみに、フロストはついこのあいだの2013年8月31日に他界した。
享年74。