◇ナチスの犬(2012年 オランダ 118分)
原題 SUSKIND
staff 監督/ルドルフ・ヴァン・デン・ベルフ
脚本・原案/クリス・W・ミッチェル ルドルフ・ヴァン・デン・ベルフ
撮影/ヒュイド・ヴァン・ヘネップ 美術/ユベール・プイユ ジナ・スタンキュ
視覚効果/ジョリス・マーテンズ ラファエル・ティエリー
cast ユルン・スピッツエンベルハー カール・マルコヴィクス ニンケ・ ベーカイゼン
◇1942年夏、アムステルダム
近代史は、ほんと、知らないことがいっぱいだ。
ナチス占領下のアムステルダムで、
ユダヤ人評議会があったってことも知らんかったし、
ドイツ系ユダヤ人のバルター・ズスキントって人のこともまるで知らなかった。
くわえて、評議員だったものだから、
家族と一緒に自由な行動が認められ、
ドイツへも強制送還されなかったなんてことも知らなかった。
けど、そのかわりに、バルターは、
拘留されたユダヤ人をドイツに送り出すことを命ぜられてた。
ただ、バルターは、輸送列車の向かう先が、
ドイツではなくてポーランドの絶滅収容所だってことはまるで知らず、
結局、かれによってたくさんのユダヤ人がガス室送りになってた。
なんて悲惨な立場なんだろうとおもうんだけど、
バルターの凄いところは、せめて子供たちの命だけでも救おうと決意したことだ。
親衛隊の高官をたくみにだまくらかし、
レジスタンスの協力もとりつけ、子供たちを必死にかくまい、
最終的には1000人からのユダヤ人を救った。
とはいえ、いつまでも地下活動が見逃されるはずもなく、
やがて偽装工作が発覚し、
バルターは絶滅収容所へ送られていく羽目になるんだけど、
それにしても、歴史はときとして凄い人間を生む。
日本にも杉浦千畝とか樋口季一郎とか、
ユダヤ人に協力した人はいたけれど、ね。
でも、欧米はこういう人を発掘して、ちゃんと映画にしてる。
たいしたもんだっておもうわ。