◎女帝 エンペラー(2006年 中国、香港 131分)
原題 夜宴
英題 The Banquet
staff 原作/ウィリアム・シェイクスピア『ハムレット』
監督/馮小剛 製作総指揮/王中磊 袁和平 脚本/盛和 邱剛建
武術指導/袁和平 撮影/張黎 美術・衣裳/葉錦添 音楽/譚盾
cast 章子怡 葛優 呉彦祖 周迅 馬精武 黄暁明
◎五代十国時代
古代中国で仮面が作られていたのは、
長江の流域、すなわち蜀から楚へいたる大地だったらしい。
ただ、それが五代十国時代まで続いていたかどうかは、ぼくは知らない。
五代十国時代といえば、もう、唐が滅んだあとだから、
西暦でいえば、950年前後の話だ。
それにしてはやけに古代の、それも五胡十六国時代よりも前、
ことによれば三国時代のような印象のある映像なんだけど、
まあ、そのあたりはよしとしよう。
そもそもシェイクスピアを中国にもってきてるわけだから、ね。
けど、ここで登場する仮面劇のくだりは、実に見事だ。
もしかしたら『ハムレット』をどの映画よりも上手に消化してるんじゃないか、
とまで感じる内容と映像に仕上げられてるのには、驚いた。
監督のフォン・シャオガンの美的センスは、凄いわ。
チャン・ツィイーがどちらかといえば童顔なせいで、
夫殺しの義弟に対する復讐劇という凄絶な役がらに似つかわしいかどうか、
てなところはなきにしもあらずなんだけど、
でも、かなり象徴的な空間に仕上げられてる宮廷内はダークな美しさがあるし、
竹林とかの活劇場面もまた凝ったセットが作られてるし、
いやまじ、かなわんな~と。