◇鉄人28号 白昼の残月(2007年 日本 95分)
staff 原作/横山光輝『鉄人28号』
監督・脚本・絵コンテ/今川泰宏 演出/古川順康
キャラクターデザイン/なかむらたかし 石川晋吾
作画監督/石川晋吾 櫻井邦彦 美術監督/松本浩樹
音楽/伊福部昭
主題歌/六本木男声合唱団倶楽部『進め!正太郎』『鉄人28号』
cast くまいもとこ 粟野史浩 牛山茂 石塚理恵 内海賢二 語り/矢島正明
◇昭和30年、東京
『パシフィック・リム』を観ると、どうしても『鉄人28号』を観たくなるのは、
ぼくだけだろうか?
ギレルモ・デル・トロは、小さなときから『鉄人28号』のファンだったらしい。
なるほど、わかる。
あの鋼鉄の巨体ががちあう圧倒的な重量感は、
ぼくたちが子供だった頃、鉄人から受けた感覚そのものだ。
そのデル・トロがこの映画を観たとき、
はたして、どんな感想を口にするのかはわからないけど、
今回の作品は、おそらく歴代の鉄人の中では最高の出来栄えだろう。
作品を比較することは好きじゃないけど、
これよりも数年前に制作された実写版に比べて、
充分に留飲の下がるものだった。
伊福部昭の楽曲を用いたのも、昭和ノスタルジーが感じられて好い。
とはいえ、
ぼくにはぼくなりの鉄人の好きな部分がある。
歩くときに旧テレビ版では、がるらん、ごるらん、という音が立っていた。
鉄が転がるような、いかにも重々しい音に、幼いときのぼくには聞こえた。
咆哮は、ばぁんぎゃおぅん、と聞こえた。
ソノシートにそれが入っていたのかいないのか、
今では実家の物置をかっさばいても聞き返すことはできないけど、
ともかく、
その効果音は『マグマ大使』の笛の音「ぴびゅるぴぴぃ~」と同じく、
ぼくの中ではどうしても変えてほしくないものの筆頭なのだ。
当時、
プラモデルやおもちゃに始まり、
グリコの景品はもちろんのこと、
月刊誌「少年」を毎月とってて、
カッパコミックス版が刊行されるや、やっぱり毎月買ってたぼくは、
漫画や景品からは絶対に聞くことのできない鉄人の跫音と咆哮に、
もうめちゃくちゃ胸を躍らされたものだ。
それが、今回もまた聞くことが叶わなかった。
悲しい。