◇パブリック・エネミーズ(2009年 アメリカ 141分)
原題 PUBLIC ENEMIES
staff 原作/ブライアン・バーロウ『パブリックエネミーズ』
監督/マイケル・マン 製作/マイケル・マン ケヴィン・ミッシャー
製作総指揮/G・マック・ブラウン ロバート・デ・ニーロ ジェーン・ローゼンタール
脚本/ロナン・ベネット アン・ビダーマン マイケル・マン
撮影/ダンテ・スピノッティ 美術/ネイサン・クロウリー
衣裳デザイン/コリーン・アトウッド 音楽:エリオット・ゴールデンサール
cast ジョニー・デップ マリオン・コティヤール クリスチャン・ベイル キャリー・マリガン
◇1930年代、大恐慌時代
ギャングのジョン・ハーバート・ディリンジャー・ジュニアは、
FBI長官J・エドガー・フーヴァーから、
Public Enemy No.1(最大の社会の敵)と呼ばれるようになるんだけど、
この銀行を襲っても客からは金銭を奪おうとしない強盗は、
市民から義賊のように慕われてた。
だから、かれが銃撃されて死んだ1934年7月22日は、
いまでもJohn Dillinger Dayって呼ばれて、行事があるらしい。
墓石が削られて持っていかれるなんて、
なんだか鼠小僧みたいな感じだけど、
義賊に対する扱いは洋の東西を問わないのかもしれないね。
ちなみにディリンジャーが撃たれたのは、
バイオグラフシアターっていうシカゴ郊外のリンカーンパークにある映画館の前なんだけど、
このときにディリンジャーを裏切って通報したのは、
アンナ・セージっていうルーマニアから移民してきた女友達で、売春宿の経営者だ。
FBIの要請で目立つような服を着ろといわれてたから赤いドレスでデートしてたらしい。
だから、今でもアメリカじゃ、破滅に導く女はthe lady in redとかっていわれるんだと。
『赤いドレスの女』とか『ウーマン・イン・レッド』とかっていう映画もあったけど、
いまだに運命的な女の象徴になってるんだね、やっぱり。
ところで、ディリンジャーを追いかけていたFBIは、ふたつに分かれてた。
フーバーの部下で特別捜査班の長になってたメルヴィン・パービスだ。
パービスはずいぶんのちに自殺するんだけど、これを演じたのがクリスチャン・ベイル。
ジョニー・デップとの色男対決はたぶん女性観客には受けが好かったんだろうけど、
ぼくは「おお、白塗りじゃないジョニデはひさしぶりに観たわ」とまずおもってしもた。
注目すべきはやっぱりマリオン・コティヤールで、いやまあ上手だ。
ディリンジャーの恋人ビリー・フレシェットを演ったんだけど、実にリアルだった。
インディアンとの混血には見えなかったけど、それはご愛嬌だ。
ちなみにビリー・フレシェットとディリンジャーの交際期間はあんまり長くなくて、
出遭ってから半年後には逮捕されてるし、服役中にディリンジャーは銃殺されてる。
いちばん燃え上がったときの恋人の悲劇なんだから、辛さは想像して余りある。
ただ、一般女性が義賊とはいえどんどん悪人に嵌っていく過程は、なんかよくわかる。
女性って、男次第で変わるのかな~。