◇ペーパーボーイ 真夏の引力(2012年 アメリカ 101分)
原題 THE PAPERBOY
staff 原作/ピート・デクスター『THE PAPERBOY』
監督/リー・ダニエルズ 脚本/ピート・デクスター リー・ダニエルズ
製作/ヒラリー・ショー リー・ダニエルズ
エド・カテル三世 カシアン・エルウェス
撮影/ロベルト・シェイファー 美術/ダニエル・ドランス
衣裳デザイン/キャロライン・イースリン=シェーファー 音楽/マリオ・グリゴロフ
cast ザック・エフロン マシュー・マコノヒー ジョン・キューザック スコット・グレン
◇1969年、フロリダ州モート郡
その沼地、海岸、乾燥した町。
なにもかも暴力的で、セックス中毒で、ホモやレズが横溢しているところが舞台だ。
そうした中で、
ニコール・キッドマンの存在は凄まじい。
いったい頭の中身がどうなってるのかわからないような女を演じ、
死刑判決を受けている服役囚に憧れ、手紙をやりとりして婚約し、
新聞記者たちと共に面会に訪れた先で、
手錠をはめられたジョン・キューザックの命令どおり、
股をひらいて真っ赤な下着をあらわにし、パンストをみずから破り、
フェラチオをしているように口をすぼめ、はあはあと喘ぎ、
その場で、数メートル離れたところに腰掛けてる婚約者をイカせようとする。
キューザックもキューザックで、キッドマンに反応し、おそろしく欲情し、
足を開いたまま、ズボンの中で射精するんだから、
いや、まじにハリウッドのスターたちがどないなっとんねん!っていう内容だ。
それにとどまらず、
キッドマンは、くらげに刺されたマシュー・マコノヒーに放尿するし、
キューザックは吊るされたワニの腹を切り開くし、
さらに釈放後、洗濯機の上でキッドマンを犯すところなんざ、凄いリアルさだ。
ねばっこく、きわめて暴力的な演出のせいもあるんだろうけど、
ともかく、亜熱帯のような沼地で、臭気の中で繰り広げられる暴力と破壊は、
なまぐさい性衝動とごっちゃまぜになって、
観ていて決して気持ちのいいものではないし、鑑賞後はどっと疲れた。
後味がいいとはもちろんいえないんだけど、
どうしようもない絶望感と挫折感が漂う中に、
ペーパーボーイがブン屋になっていく未来を語ってくれるのは唯一の救いだわ。
いや、まじ、すごかった。
でも、邦題は、あかん。