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アンチヴァイラル

2013年10月18日 18時05分50秒 | 洋画2012年

 ◎アンチヴァイラル(2012年 アメリカ、カナダ 108分)

 原題 ANTIVIRAL

 staff 監督・脚本/ブランドン・クローネンバーグ

     撮影/カリム・ハッセン 美術/アーヴ・グレイウォル

     衣裳デザイン/パトリック・アントシュ デニス・クローネンバーグ

     スチール/ケイトリン・クローネンバーグ スティーブ・ウィルキー

     音楽/E.C.ウッドリー

 cast ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ サラ・ガドン マルコム・マクダウェル

 

 ◎クローネンバーグ家の血

 いったい、この家族はどうなってるんだ?

 と、叫びたくなるのは、ぼくだけなんだろうか。

 たしかにぼくは、

 ブライアン・デ・パルマやデヴィッド・リンチに並んで、

 デヴィッド・クローネンバーグが好きだけど、

 まさか、その息子までもが、

 こんな立派な変態映画を作るまでに育つとはおもってもみなかった。

 内容については、そこらじゅうで語られてるだろうから、書かない。

 でも、死ぬほど好きなセレブのウィルスを買い、

 自分に注入し、そのウィルスに蝕まれたいなんていう物凄い発想は、

 いったいどうやったら育まれるんだろう?

 くわえて、いかにもクローネンバーグ系の発想なのか、

「セレブの細胞を培養してステーキにして、それを食べるのだ」

 という前人未到ともいえるような空恐ろしい事態はもとより、

 ウィルスの闇売買がされ、それで企業の興亡がなされるなんて、

 なんてまあ、近未来は恐ろしげな世界が展開されてるんだろう。

 さらに、これもまたクローネンバーグ父に似てるんだけど、

 なんてまあ、血のリアルなこと。

 深紅で、どろっとしてて、乾いてもなお、血なまぐささが取れないような、

 そういう拭いきれない鮮血の凄みが、ある。

 あ、それと。

 舌に注射されるのは、ものすごく痛い。

 ぼくはちょっと前に経験したんだけど、そりゃもう、痛いなんてもんじゃない。

 途中、いきなり、舌への注射に出くわしたとき、あっ、と声を上げそうになった。

 おもいだしちゃったんだもん~。

 ちなみに、

 絵作りは、かなり理詰めだ。

 冒頭から発端にかけて、白の基調に、シンメトリックさが強調されてる。

 つまり、調和のとれた清潔な世界が展開してるわけだね。

 ところが、話が進むにつれて、彩りはどんどんダークになる。

 画調は乱れ、シンメトリックな美しさは一気に破綻し、破壊される。

 世界が混沌とし、人の心の醜さが暴かれるに従って、不潔さが漂う。

 まさに、理詰めの画面構成になってる。

 たしたもんだわ、ブランドン・クローネンバーグ。

 で、

 話はまるで変わるんだけど、

 サラ・ガドン、綺麗ね~。

 ラスト、美しさをそのままカプセルに封じ込められて、

 その細胞だけが生きていくっていう美の独占にもにた展開の中で、

 まるで太股か二の腕をおもわせるような「肉」がカプセルから露出してるんだけど、

 そこに切れ目をいれて、したたる血を舐めるのは、

 彼女の美を崇拝して、その魅惑の虜になってしまう末路のせつなさがある。

 なんとも倒錯的なラストではあるけど、

 それもこれも、サラ・ガドンの際立った美しさがなければ成立しない。

 このサラちゃん、パパ・クローネンバーグも大好きになったみたいで、

 『危険なメソッド』と『コズモポリス』に出演してるんだけど、

 いやまあ、息子クローネンバーグの方が、

 サラ・ガドンの本質を見抜いているような使われ方で、

 う~む、この先、彼女はクローネンバーグ映画の常連になるんだろうか?

 楽しみだ。

 なんとも、楽しみだ。

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