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モンタナの風に抱かれて

2013年10月19日 02時27分20秒 | 洋画1998年

 ◇モンタナの風に抱かれて(1998年 アメリカ 167分)

 原題 The Horse Whisperer

 staff 原作/ニコラス・エヴァンス『The Horse Whisperer』

     監督/ロバート・レッドフォード

     脚本/エリック・ロス リチャード・ラグラヴェネーズ

     撮影/ロバート・リチャードソン 美術/ジョン・ハットマン グレッチェン・ラウ

     衣裳デザイン/ジュディ・L・ラスキン タイトル・デザイン/カイル・クーパー

     音楽/トーマス・ニューマン

 cast ロバート・レッドフォード クリスティン・スコット・トーマス スカーレット・ヨハンソン

 

 ◇傷を癒す人

 原題の意味は「馬にささやく人」なんだそうだ。

 なるほど、たしかにささやいてる。けど、ささやいているのは、馬だけじゃなかったところが、味噌だ。

 傷ついた家族の傷をいやして、自分が傷ついてしまう男の切ない話だからね。

 無理をした雪の日の遠出が要因で、愛馬が傷つき、自分もまた片足を切断する羽目になった少女と、夫婦仲が冷め、仕事もマンネリ化してたところのへ娘と馬の事故を知り、ますます傷つくこととなってしまった母親と、そんな妻と娘との絆をふたたび取り戻そうとする夫に対して、ほとんどボランティアのようにすべての傷を癒そうとする男の話。

 でも、やっぱり、そこはそれ、男と女はすべからく出遭うように世界は創られているらしい。なんたって、男は以前の結婚で、深く傷ついている。その傷をまわりの人々が案じて、ようやく復調したところへ、美人がやってくる。新たな恋だ。日本語はまったく厭味ったらしく出来てて、こういう状況を不倫という。つまんない言葉だ。男と女が出会って恋をするんだから、それを不倫理な行為かどうかっていう尺度で測ったところで仕方がない。

 ま、そんなことはさておき、人生っていうのは、ほんとにうまく行かないもので、自分が家族の傷を癒してやれば、別れがやってくるのは自明のことで、それでも自分に関わった人の傷はすべて癒してあげたいとおもってしまう。なんとも不器用ながら、年を食っても色男は色男っていう辛い立場の男を、ロバート・レッドフォードはなんとか演じてる。

『マディソン郡の橋』と比べる人は少なくないようだけど、ちょっと違う。

 まあ、なんにせよ、モンタナの自然も馬も、ため息が出るくらい美しい。たしかに、レッドフォードは、頬の張りが失われ、その分皮膚がたるんで皺が出、目もしょぼつき始めてる。でも、見栄えが老いるのは生きているかぎり当たり前の話で、それでも、異性と出遭ってしまえば恋をする。女だって、おんなじことだ。これが、禿でデブの醜男だったら、恋はしない。金髪の色男で、誰にでも優しく、馬を魔法のように調教し、どことなく影があり、なんといっても、自分と同じように心に傷を負ってたりしたら、たとえ夫があろうとなかろうと恋をするなっていうのは無理な話だ。

 いいじゃないか、62歳。

 かっこいいぞ、レッドフォード。

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